翌朝もハグリッドさんの姿は見えませんでした。未だ任務から帰ってきたという話も聞きません。成功したとも、失敗したとも。
ハリー達は心配そうにしていましたが、私がハグリッドさんが何をしているのかを教えるわけにもいきませんし…。

そして、この日の授業でも大量の宿題を出されてしまいました。
私が苦手な変身術では今、『消失呪文』を学んでいましたが、私のカタツムリは半透明にはなりましたが、消失することはありませんでした。魔法薬など、無機質なものなら簡単だったんですけれど、生命体となると途端に難しくなります。

うーん。いっぱい、いっぱいです。
私が誰もいない夜の談話室で宿題を並べ、困惑の表情を浮かべていると、隣に置いてあった黒い日記に、ぼんやりと文字が浮かび上がりました。

『忙しそうだねぇ。手伝う?』

なんとも魅力的なお誘いです。だって、リドルくんは確か主席さんでしたよね?
私は少し微笑みを浮かべながら、羽ペンを取りました。

「とっても魅力的ですけれど、まずは自分でやってみますね」
『それはいい心がけだ。
 ただ、自分の得意科目からやりすぎだよ』

私の前には魔法薬学のレポートが置いてあります。だって、これが1番わかるんですもん!
リドルくんの容赦ない言葉がかけられます。

『勉強はわからないものから片付けて行くべきだと思わないかい?』
「………返す言葉はありません…」

しょぼんと肩を落としながら、変身術の宿題を並べました。やっぱり苦手。

談話室の暖炉の側で、消失呪文の練習をしていると、どこかへ出かけていたロンがこそこそと帰ってきたので、私はリドルくんの日記を閉じてから、思わず声をかけました。

「ロン、お帰りなさい」
「わっ、リク! そこにいたの!?」

お久しぶりに会話をするロンでしたが、彼は曖昧にはにかむと、新しく握られた箒を一応は隠そうとしました。

それを見た私は微笑みを浮かべ、今週の金曜にグリフィンドールの新しいキーパーを決める選抜試験があることを思い出しました。

「ロンもキーパーに立候補するんですか?」
「う、うん。ほら、新しい箒も手に入れたしさ…。…笑わないでくれよ?」
「笑っていませんよ。きっとロンならとっても強いキーパーになれますよ!」

にっこりと笑うとロンは照れたようにはにかみました。
静かな談話室を見回して、ロンはハリーの姿を探しました。

「ハリーは?」
「まだ罰則が続いているようです」

ハリーの罰則は今晩から1週間でした。ロンはふーんと頷いたあと、今すぐにハリーが帰ってこないかと、談話室の扉をちらりと見ました。

「ふーん。書き取り罰って言ってたけど、何回書かされてるんだろう。あの糞ばばあ…」

ムッと怒りの表情を浮かべるロンに、私も少しだけ表情を変えました。
私はハリーがただの書き取り罰を受けているのではないのを、知っていたのですから。

「本当に。嫌いです」

小さく呟いた声はロンには聞こえなかったらしく、ロンはまた欠伸をして私に一言言って寝室に上がっていきました。

再び私が杖を振るうと、練習用に出していた羊皮紙がパッと消えました。で、出来ました!

『成功したね』

いつの間にかまた開かれていたリドルくんに、私は感謝の言葉を一言書き加えました。


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