それから数日後、グリフィンドール寮の掲示板に大きく張り出された教育令という告示に、私は顔をしかめました。

そこには学生による3人以上の生徒が定期的に集まる組織、団体、チーム、グループ、クラブなどを1度解散させる。というものでした。
再結成の許可は高等尋問官であるアンブリッジ先生に届け出と承認を受けなくてはいけない。と書かれていました。

しかめた顔のまま、私は掲示板を見つめつづけていました。
私が参加しているわけではありませんが、ハリー達の集まりのことがバレてしまったのでしょうか。

その時、突然、女子の寝室の方から、ビーッというブザー音が鳴り響きました。
そちらの方を見ると階段が滑り台のようになっており、下には転げ落ちたロンがいました。
ロンはこのことを話そうと、ハーマイオニーに会いに行こうとしたみたいでした。

残念ながら、男性は女子の寝室には上がれないんですけれども。

私はいつものように鞄の中にリドルくんの黒い日記があることを確認してから、『魔法薬学』の授業に向かいました。

そこには視察に来たアンブリッジ先生の姿がありました。
私の表情に一瞬驚きが走りますが、私はすぐに座席につきました。

「本日は『強化薬』を続ける」

時間通りに現れたスネイプ先生は1言アンブリッジ先生の事を話したあと、前回の続きである『強化薬』の調合を生徒に指示しました。

熟成されている私が作った強化薬をみると綺麗な青色になっていました。
うまくいっているのか不安な色ですね…。この色で正解のはずなんですけれども。

「さてと」

最初の30分程度メモをとっていたアンブリッジ先生でしたが、立ち上がり、トーマスくんの大鍋を覗いていたスネイプ先生に話しかけました。

「このクラスはこの学年にしてはかなり進んでいますわね。
 でも『強化薬』のような薬をこの子達に教えるのはいかがなものかしら。魔法省はこの薬を教材から外したほうがいいと考えると思いますね」

独り言のようにそう言ったあと、改めてスネイプ先生への質問を始めました。

「あなたはホグワーツでどのくらい教えていますか?」
「14年」

スネイプ先生の表情はいつもと変わらない様子でしたが、ほんの少し不機嫌にも見えました。
私は大鍋の中身をぐるんと混ぜ合わせ、綺麗な青色から透き通ったピンクへと変化させました。

既に魔法薬はそっちのけで私は2人の先生の話を聞いていました。

「最初は『闇の魔術に対する防衛術』の職に応募したのでしたね?」
「左様」
「でもうまくいかなかったのね?」
「ご覧のとおり」
「そして赴任して以来、貴方は毎年『闇の魔術に対する防衛術』に応募したんでしたわね?」
「左様」

大鍋を掻き混ぜながら私は不安げにスネイプ先生を見ていました。
先生が相当怒っている気がしたのです。無表情ではありましたけれども。

「ダンブルドアが一貫して貴方の任命を拒否してきたのは何故なのか、おわかりかしら?」
「本人に聞きたまえ」
「えぇ、そうしましょう」

アンブリッジ先生はにっこりと笑いながらそう言いました。スネイプ先生は暗く目を細めながらアンブリッジ先生を見下ろしていました。

「それが何か意味があるとでも?」
「えぇ、ありますとも。ええ、魔法省は先生方の、アー…、背景を完全に理解しておきたいのですわ」

アンブリッジ先生はそう言ったあと、スネイプ先生に背を向けて、パーキンソンちゃんに授業についての質問をしていました。

私は先生達から視線を外し、自分の大鍋を見つめました。液体はいつの間にかドロドロとした赤黒い液体になっています。ほんの少し気持ち悪い色です。
不安になってハーマイオニーの鍋も覗くと私と同じような色になっていたので、試験管を取り出してそれを静かに詰めました。

ロンの隣でゴムのように固まってしまったハリーの魔法薬を、再び消すスネイプ先生の姿が見えました。絶対、腹いせですよね、あれ。

「次の授業に使う魔法薬の材料を手に入れる方法を調べてきたまえ」

スネイプ先生はそう言って今日の授業を締めくくりました。
アンブリッジ先生は白い小さなメモ用紙を、スネイプ先生に渡すと、生徒に紛れて地下牢教室を出て行きました。
1番前の教卓にいるスネイプ先生をちらりと見てから、駆け寄ろうとしましたが、先生は私の行動を視線で制しました。

うう。絶対、あとで魔法薬のお手伝いに来ますからねー。


prev  next

- 154 / 281 -
back