「スネイプ先生?」

肩についていた雪を軽く払ったスネイプ先生がそこにいました。私は駆け寄って、雪で濡れた先生の腕に触れつつ、先生を見上げます。

「どうしてここに?」
「ポッターに用事がある」
「ハリーに何の用だ?」

声に振り返ると、顔を険しくさせたシリウスが階段の淵でスネイプ先生を睨みつけていました。スネイプ先生も睨み返していました。
スネイプ先生とシリウスは犬猿の仲です。私はドキドキと2人の顔を伺っていましたが、とりあえずこのまま2人の睨み合いを続けさせるわけにはいかないと動き始めました。

「と、とにかく、厨房に行きましょう。喧嘩は駄目です!」

スネイプ先生の腕についていた雪を払い、手を引いて厨房に向かいます。そのあとからゆっくりとシリウスがついてきました。

厨房に入ると、リーマスさんとモリーさんが驚いた表情を浮かべます。
私はリーマスさんに困惑の表情を向けると、リーマスさんは再び苦笑を零して、ココアに口をつけました。私が口を開きました。

「ハリーにご用事があるんですって。ハリーが今どこにいるか知ってます?」
「さっき、ロンとチェスをしていたわ。私が呼んでくるわね」

モリーさんが察して立ち上がります。シリウスはソファに座り、スネイプ先生の横顔を睨んでいました。
スネイプ先生とシリウスに紅茶を用意した私が、リーマスさんの側に駆け寄り、助けを求めます。
スネイプ先生とシリウスが作り出すお互いの嫌悪感で、重苦しい空気が流れていたのです。

「私達は席を外したほうがいい話かな? セブルス」
「我輩はポッターに用があるだけだ。部外者はいらない。
 それにあまり長居も出来ない」

シリウス程ではないにしろ、リーマスさんも嫌いなスネイプ先生が冷たくそう言います。
リーマスさんに酷くするスネイプ先生に頬を膨らませていると、リーマスさんは優しく私の頭を撫でていました。

「そっか。長居が出来ないのは残念だ。リクちゃんが寂しがるよ」
「リーマスさん! 変なこと言っちゃ駄目ですよ」

むぅと頬を膨らませる私。スネイプ先生は対して気にした様子を見せることなく、私がいれた紅茶に手を伸ばしていました。
私の肩を引きながら立ち上がるリーマスさん。変わらず座っているシリウスは、ハリーとスネイプ先生のお話に混ざるつもりのようでした。

「じゃあ、私達は行くね。2人とも喧嘩はしないように」

厨房に犬猿の仲である2人を残し、私達は扉を閉めてしまいました。心配そうに表情を歪めている私に気がついたリーマスさんは、ただ苦笑を零していました。

「大丈夫。シリウスもセブルスもいきなり決闘なんてしないさ」
「………ですよね」

でも、やっぱり、心配です。

リーマスさんの近くの空き部屋でお話をしながら待っていると、途中で笑顔のジニーちゃんが扉の先に顔を覗かせました。

「パパが帰ってきたの!」
「治ったんですね!」

私はにっこりと笑顔を返します。リーマスさんも微笑みを浮かべていました。
リーマスさんと2人で厨房に向かって降りていくと、玄関のところでスネイプ先生が立っているのが見えました。思わず駆け寄る私。

「先生。また、明日」

一瞬振り返ったスネイプ先生が、にっこりと笑った私を確認してから、何も言わず玄関を出て行ってしまいした。
先生が多くを語らないのは今に始まったことではないので、私は気にすることもなく、すぐにリーマスさんの側に戻りました。何故かリーマスさんは思慮深い表情をしていました。

「今、私、父親の複雑な心境を味わっているよ」
「? リーマスさんは私のお父さんですものね」
「悪い男に騙されたりしないかどうか、とっても心配」
「???」

はてなをいっぱい飛ばしながら首を傾げる私。リーマスさんが深い溜め息をつきながら、私をぎゅうと抱きしめました。


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