森から抜けると、迂闊なことにハグリッドさんの小屋から出てきたハリー達3人に見つかってしまいました。
私は内心パニックになりつつも、驚く3人ににっこりと笑っていました。
「リク、どうしてここから?」
「この前、森の中で野良犬さんを見つけて……。あの、先生方には内緒にしてもらえますか?」
「それはいいけど…僕達には話してくれてもよかったのに」
ロンの言葉に頭を小さく下げてから、私はハリー達の横に並びました。
本当に野良犬だと言う日が来るとは思いませんでした。シリウスにバレたら怒られてしまいますね。
真剣に考えている様子のハーマイオニーを見て、私も首を傾げました。
「あ、あの、どうかしたんですか?」
「この前、ハグリッドの授業でヒッポグリフがマルフォイを傷つけたじゃないか」
「はい。…なにか不工合でも…?」
「ハグリッドは大丈夫だったんだけど、ヒッポグリフ…バックビークが裁判にかけれれるって」
このままではバックビークが殺されてしまうそうです。
ハリーはどうやらシリウスのことをハグリッドさんに聞きに行ったようですが、逆に悩み事を増やしたようでした。
「これから図書館で、バックビークの弁護に役に立ちそうなことを探すわ。
リクも手伝ってくれる?」
「はい。もちろんです」
それからずっと、翌日も図書館に篭っていました。
談話室に戻ってきた時には役に立ちそうな本を沢山抱えて戻ってきました。
そんなことをしながらもクリスマスは近付いて来ていました。
最悪なことに、今年はクリスマスと満月の日が重なっていました。
カレンダーにつけられた、満月の日を現す大きなバツ印を私は睨み付けます。
リーマスさんと一緒にいようと思ったのに! なんということでしょうか。
暫くリーマスさんの部屋で渋っていましたが、結局、クリスマス・イブの日に部屋を出されてしまいました。
隠れていたスキャバースもクリスマスの賑やかな雰囲気に出てきて、私は、じいっとそのスキャバースを睨みました。
でも、私がスキャバースに手を伸ばそうとすると、またいつもの頭痛に襲われるのでした。
クリスマス当日の朝。
ベッドの脇にはプレゼントの山が置かれていました。目を輝かせて、プレゼントに手を伸ばします。
隣のベッドでも起きてきたハーマイオニーもお互いに挨拶をしてから、ベッドの端に腰をかけてプレゼントを開封し始めました。
「リク! この本欲しかったのよ! ありがとう!」
「どういたしましてー。ハーマイオニーもマフラーありがとうございます!
大事に使わせてもらいますね」
マフラーに合わせられた手袋はハリーから。お菓子の詰め合わせはロンから。
それに、リーマスさんからは可愛い髪飾りがあり、私は早速それを飾りました。
シリウスからも、どこから手に入れたのでしょう? ブラックダイヤモンドが飾られたペンダントがありました。
「リク、これからハリー達の所行くけど」
「私も行きます! ちょっと待ってくださいね」
ガウンを手にして、私はクルックシャンクスを抱えたハーマイオニーの背中を追いかけました。
ハリー達の所へ行くと、ベッドに新しい箒『炎の雷』ファイアボルトが置いてありました。
「まぁ、ハリー! いったい誰がこれを?」
「わからないんだ。カードも何もついてない。
ルーピン先生じゃないかとか言ってたんだけど、無いよね?」
「ふふ。はい。リーマス先生ではありませんよ。
誰でしょうね」
にこにこと笑った私はハリーに断ってから、箒の柄に触ってみました。
箒に詳しいわけではありませんが、滑らかな手触りは一級品だと物語っていました。
ですが、ハーマイオニーはまだその箒を怪訝そうに見ていました。
昼食のときに大広間に降りていくと、いつもの各寮の机はどこかへ消え、代わりに大きなテーブルが中央に置かれていました。
机にはすでに先生方が座っていて、管理人のフィルチさんもいました。
生徒はほかに2人しかいません。ハッフルパフの1年生と、スリザリンの5年生だけです。
「メリー・クリスマス!」
私達が近付くと、ダンブルドア校長先生が声をかけました。
「これしかいないのだから、寮のテーブルを使うのは愚かに見えたのでのう。
さあ、お座り!」
にこにことはしゃぐ校長先生は反対に渋るスネイプ先生が、校長先生が持ったクラッカーの紐の端を引きました。
バーンと大きな音を立てて飛び出してきたのは、ハゲタカの剥製が乗った大きな魔女の帽子。
ボガード・スネイプ先生がかぶっていたものとそれは似ていて、私は吹き出してしまいました。
ハリーとロンが左右で慌てる中、私はクスクス笑いを止められなくて、スネイプ先生に睨まれてしまいました。
「ドンドン食べましょうぞ!」
ダンブルドア校長先生がにっこりと笑ったあと、みんなに促しました。
途中で、占い学のトレローニ先生もやってきて(どうやらマクゴナガル先生とは気が合わない様子です)、その中にリーマスさんがいないことが無性に寂しくなってしまいました。
ハリーとロンが席を立ったとき、ハーマイオニーはまだ残るようでした。
「私もハーマイオニーと行きますね」
ハリー達にそう返し、見えなくなると、ハーマイオニーはマクゴナガル先生に話しだしました。
「先生。ハリーへのクリスマスプレゼントに宛先不明の物が届いたんです」
「え。ハーマイオニー、待ってください。でも、あれは」
いきなり話しだしたハーマイオニーに私は驚いて彼女に振り返りました。
ですがすでに、ハーマイオニーの言葉に、マクゴナガル先生が食いついていました。
「なんですって、Ms.グレンジャー?」
「箒なんです。しかもとっても高そうな」
「で、でも、何も危険そうな感じはしませんでしたよ」
「いいえ。調べてみないことにはわかりません。
もしかしたら、シリウス・ブラックからの罠かもしれません」
その言葉に私はじいとマクゴナガル先生の顔を見つめることしかできませんでした。
確かに、確かにシリウスが送ったものですけど…。罠ではないです…。
「ご報告ありがとう、Ms.グレンジャー。
談話室まで行きましょう」
歩いている途中、ハーマイオニーはとっても複雑そうな顔をしていました。
私は静かに息を吐いたあと、ハーマイオニーの手を握りました。
ハーマイオニーが心配するのもわかっていました。
世間ではシリウスは残虐な脱獄囚ですからね。
談話室に行くと、マクゴナガル先生の姿を見て、ハリーもロンも驚いていました。
そして、2人の言葉も虚しく箒は預けられてしまいました。
言葉の矛先はハーマイオニーに向かいます。私はハーマイオニーの手をぎゅうと握っていました。
「一体何の恨みでマクゴナガルに言いつけたんだ?」
「私に考えがあったからよ――マクゴナガル先生も同じ意見だったわ…、その箒はシリウス・ブラックからハリーに送られたものだわ!」