開かれることとなったクリスマス・ダンスパーティーに、生徒達は全員浮足立っている頃でした。
ロンと交替で爆発スナップのカードで城を作っていると、ハーマイオニーが私とハリーに厳しい目を向けました。
「貴方達もっと何か建設的なことをやるべきじゃないの?」
「たとえば?」
ハリーはいつかのクィディッチの試合を見ながら聞き返していました。
「あの卵よ! 貴方達、ちゃんと解明してるの!?」
「ハーマイオニー、2月24日までまだ日があるよ」
「他の人が次の課題を知っているのに、貴方だけ知らなかったら、まぬけ面もいいとこでしょ!」
「ほっといてやれよ。2人とも休息していいだけのものを勝ち取ったんだから」
そういいながら、私の次にトランプを置いたロン。
とたんに全部のトランプが爆発を始めます。眉を焦がしたロンに不謹慎ながらも、笑い出してしまいました。これで私の3連勝です!
その笑っている私の頭にジョージ先輩が頭を乗せました。隣にはフレッド先輩もいました。
「男前になったじゃないか、ロン」
「ロン、ピッグウィジョンを借りてもいいか?」
フレッド先輩、ジョージ先輩が代わる代わる話します。
ですが、ピッグは今、シリウスとリーマスさんに配達中です。
ピッグがいないことを伝えると、先輩達は学校のフクロウを使った方がいいなと話しあっていました。
ふとフレッド先輩が声をかけます。
「で、みんなダンスパーティーの相手を見つけたか?」
「まーだ」
ロンが答える通り、私達はまだ誰もダンスパーティーの相手は決めていませんでした。
「急げよ、兄弟。さもないと、いいのは全部取られっちまうぞ」
「それじゃ、兄貴は誰と行くんだ?」
「アンジェリーナ」
フレッド先輩は照れたりなどせずにすぐに答えました。ロンが面食らっています。
「え? もう申し込んだの?」
「いい質問だ」
そう言うとフレッド先輩は、少し後ろを向き、暖炉の側でスピネット先輩と話しているジョンソン先輩に声をかけました。ジョンソン先輩が顔をあげます。
「なに?」
「俺とダンスパーティーに行くかい?」
ジョンソン先輩はもう1度フレッド先輩を見つめました。
「いいわよ」
またスピネット先輩とお話をするジョンソン先輩。
振り返ったフレッド先輩が欠伸を噛み殺しました。
「こんなもんだ。かーんたん」
「…そんな、簡単に…」
唖然とする私が意を決して、私の頭に顎を乗せているジョージ先輩を見上げました。
「あの、ジョージ先輩、私と一緒にダンスパーティー行きませんか?」
「え!?」
「リクなら大歓迎」
「やった!」
「えぇ!?」
目を丸くするロンに私は満面の笑顔を返します。ふふ。これで私のパートナーも決まりましたよー。
2人が欠伸を噛み殺しながら去っていくのを見送ってから、ハリーが私に顔を寄せました。
「リク、行きたい人がいるっていってなかった? ジョージのことだったの?」
「言ってません言ってません!!
……絶対に一緒には行ってくれないでしょうし…、一緒にいて楽しい人と行きたいですし…」
私が染まった頬を両手で隠しているとハーマイオニーがさらに顔を覗いてきました。
「リクは最初、一緒にいて楽しくない人と行こうとしていたの?」
「そんな訳じゃないですけど…」
「ふぅん」
何かハーマイオニーは納得したように頷いていました。な、何でしょうか…!?
隣ではハリーとロンが顔を見合わせています。本当に誰を誘うか悩んでいるようです。
横でハーマイオニーがふんっと腕を組んでいました。
†††
「……この時期の地下牢教室はやっぱり寒いですね」
「ならば何故来た」
肩を震わせながら、調合している大鍋の火で暖をとっていると、スネイプ先生の呆れた声がかけられました。
私はムと頬を膨らまします。
「先生がまた沢山魔法薬を仕入れすぎるからです。
研究室に山積みになってるじゃないですか!」
「放っておけばいいだろう」
「お仕事が沢山あるようなので、手伝いにきたんですっ。
……まぁ、そりゃあ勝手にお邪魔しているのは私ですけど…」
…少しは役に立つ子だとは思われたいんですよ。
1人で悶々としていると、小さく溜め息をついたスネイプ先生が杖を振るって私の目の前にマフラーを出しました。
スリザリンカラーのマフラーを手に、私は首を傾げます。
「確かに今、手伝いがいなくなるのも困りますな」
「!」
サッと私の頬が赤く染まりました。それを隠すようにそのマフラーを首に巻きます。
グリフィンドール寮色のネクタイと、スリザリン寮色のマフラーが重ねられました。
自然と笑みがこぼれます。
「ふふ。暖かいです。ありがとうございます」
「では次は生ける屍の水薬の予備を」
「はい――じゃないです! これ、確か6年生で習うものでしたよね?」
さすがにそんな高度なものは作れません。
その旨を伝えるとスネイプ先生は鼻で笑って、いつものように黒板に作り方を表しました。
材料もいつものように表されて、私は頬を膨らませました。
「では手伝いは出来ないと?」
退路はすでに無いようです。
大鍋の前で百面相をしつつも、私はぶんぶんと首を振ってから材料を手にとりました。
「褒めて下さったらもっとやる気出しますよ」
そんな冗談を零すと、目を丸くしたスネイプ先生が深く黙り込んだので、私は慌てて大鍋に視線を集中させました。