【貴方に賭けてみました】(ハートの海賊団)
初めまして私、マリアと申します。
いきなりですが、私はONE PIECEを昔からアニメを見ていたり原作を揃えたりして、とっても好きな漫画でした。
最近、億越えルーキーが出て来た辺りでもっと好きになりました。
でも私の1番の親友であるサヤはなーぜーかONE PIECEをあまり好きじゃないんです。
登場人物もルフィとチョッパーぐらいしか知らない。
そんな私とサヤ。
アニメ、漫画、ラノベ大好きの2次元万歳達。
そして何故か今、ONE PIECEの世界にいるんです―――。
†††
身長が低めなのが私、マリア。
逆に身長が高めなのが親友のサヤ。
「何でこんなんになったのさ、おい」
「し、知らないよぉ…」
サヤが話した後の私の台詞。
目の前に広がるのは何もない海と、私はよく知っている海賊旗が掲げられた世界でした。
サヤが焦りながら私の肩をばしばしと叩く。
私もたどたどしく必死に現状を伝えようと頑張りはした。
「だからマリア、あれが何だって?」
「だ、だからONE PIECEの世界の中にいる海賊船の旗で…す…」
「ONE PIECE……どゆこと?」
「知らないよ!?」
知らんよ本当に!!
今日は2人で暇だ暇だねとか言いながら何をするでもなくゲーセンにいた。
そして気付いたら目の前に海賊船だ。足元は砂浜。後ろには林。
夢? これは2人一斉に見ている白昼夢?
それとも…、
「………トリップ?」
「いやん、言わないでよサヤ!?」
そんなオタクモードたっぷりの妄想なんか受け入れたくなんかないのに!?
いくらアニメ大好きだからって本当にトリップなんか出来る訳ないじゃない!?
私が頭を抱えて嘆きはじめるとサヤも同時に嘆く。
「っがー!! ふざけんなーッ! 何でワンピ!? 銀魂んとこにトリップさせr…」
「ちょっと待ってくれないかなァ…?」
銀魂LOVE!なサヤが叫ぶ。
いや私も高杉さんが大好きだけれども! いや、そうじゃなくて!
「おーい、お前ら!! 何やってんだー!?」
何か見つかった!! 思わずサヤの腕にしがみつく。
サヤはそれとなく呼び掛けてきた男の顔を見ていた。
「さーせーん! 私達この海賊に入りたくて!」
「うおう!? サヤ…むぐっ」
「……ちょっと黙っててよマリア」
サヤがぱちんとウィンクしてみせた。
うわー何サヤその心意気、男前。惚れそうだー。
私もやって来た男を見る。
『キャスケット帽子』をかぶったその男は絶対にONE PIECEにいたよ!!
だって私も好きな海賊団だし…!!
…この人も嫌いじゃないもんね…。
「お前達がこの船に?」
「はーい! 海賊船が凄く格好よかったんで」
「格好いいか悪いかで船決めんなよ」
全くだ。これだから海賊船のポリスーを知らない子は!
サヤの背中から顔を出して私は叫んだ。
「あの!
私達、その海賊船のキャプテンに憧れていて…」
「船長に…?
……つか凄ぇ怪しいんだけど」
「あ、怪しまないで下さい。
といっても駄目かも知れませんが、憧れていたこの海賊船を見かけて……」
さすが私。まだましな言い訳じゃない?
それとなく(私は)嘘はついてないし!
実際、目の前のキャスケットの彼は黙って少し考えるようなそぶりをした。
「ナイスマリア」
「ちょっと黙ってて」
こそこそと小突き合い、彼が「船長呼んで来るわー」と言った瞬間、私だけが飛び跳ねて喜んだ。
「いやサヤも喜べよ」
「いやアタシ何も知らないし」
「…………あのね。ここの船長の声優ね、神谷さんなんだけど」
「マジか!!? ヤバい何それ楽しみ名前呼んで貰おう」
あぁ単純でよかった。
†††
あぁマジで死にそう。
「で?」
緊張。緊張。緊張。
あのサヤでさえ黙りこんでいます。
「てめぇら本気でこの『ハートの海賊団』に入る気か?」
「…はい」
私達の目の前にいるのは億越えルーキーのトラファルガー・ロー。
いやもう凄いね! 殺気とか貫禄とか殺気とかね!
あ、今は海賊船ド真ん中なうだよ\(^o^)/
私達の回りには沢山のつなぎを着た海賊さん達が見守ってくれてます☆
ふざけている場合では無くて、ローさんの殺気ビシバシ。
「憧れなんかで海賊やれるとでも思うなよ」
あ、死ぬかも。
うわ…隣のサヤが違う意味で死にそうになってやがるぜ!(病名:声萌死)何だろう腹立つ!
ゆっくりと息を吐いてから、今までしていた正座をもう1度正した。
「……確かに海賊になる覚悟は足りていないかも知れませんが、
………頑張ります!」
やばい頑張るしか思いつかなかったwww
やっぱ怖いもん!
その時サヤがこそりと私に耳打ち。
「おーマリア大丈夫?」
「むしろ何でサヤがそんなに大丈夫なのかが知りたい」
サヤの神経太過ぎるんだけども。正座辛そうにしないのコラ。
うわ、船長さん。こっち見てる!
怖い! 目の下のクマが濃い! 寝ていますか!?
じゃなくて。
うわ、向こうに見える熊ちゃんはベポくんだよねぇ。あ、あっちペンギンさんで…
ちなみにさっきのはシャチさんね!
じゃなくて。
うわん泣きそうだ。泣いていいのか、これは!
ひたすら我慢していると、ローさんが溜め息を吐き出した後、ペンギンさんとシャチさんに向く。
「雑用を増やすぞ」
……それってこの船に置いて貰える…てこと…!?
ローさんは何も言わずそのまま部屋に戻ってしまう。
回りで見ていたクルー達がいきなり大声(雄叫び?)を上げはじめた。びっくり。
そして何人かのクルーが私達を取り囲んで、次々に祝福と歓迎の言葉をくれた。
「やったなお前ら! いやぁ、つき帰されるかと思ったな」
「ようこそハートの海賊団へ!」
「女がクルーになったぞ!
今までむさ苦しかったんだ!」
「お前がな」
「そりゃそーだ」
「嬢ちゃん達、気楽にな」
数々の言葉に唖然としそうになるけど、サヤを見ると彼女も驚きを隠せないでいた。
そして目が合うとサヤは片手を上げて私にニヤリと笑いかけた。
私も笑い返し、上げられた手に自分の手を打ち付けて、ハイタッチ。
「マリア、これからもよろしく」
「サヤ、これからもさらによろしく」
2人でならこの船でも何処でも生きていける気がしてた。
「新人を歓迎して宴やるか!」
「お! いいねぇ」
「サヤ、彼らってもしかして宴やりたいだけじゃない?」
また上がった声に私達は笑い合って準備を手伝う事にした。
†††
「私がマリアで、こっちがサヤです」
「俺、マリアちゃんが好きだ!!」
「え。公衆面前で告白された!? どうしよう!?」
「あんたらアタシのマリアに手ぇ出すとはいい度胸だなぁ!」
「サヤが暴れだしたぞー!」
騒ぎは夜がふけてもまだまだ続いていた。
私はお酒の代わりにオレンジジュースを渡され(サヤにあんたに酒は早い!と言われた)、騒ぎの隅に寄っていた。
「飲んでるか」
「ッ、ローさ…。きゃぷてん!」
隣に来たキャプテンに私は思わず正座。
夢に見たローさんとの会話!
でも現実になった今は不安しか感じなかった。
「はい。オレンジジュースですけど…」
「何でもいい。それより憧れの俺に会っても嬉しそうじゃないが?」
…ヤバい。軽くばれてる?
私はあははと笑い「緊張しちゃって」とごまかす。8割は嘘じゃないし。
ローさんはふっと笑ったあとお酒を飲んでいた手を止めて、私を見た。
「お前ら行く当てなかったからここに来たろ」
「…ッ」
「何かでこの島に来て、慌てている所に俺達の船が来た。もしくはあった。
サヤの奴は俺達を知らなかったが、お前は少しぐらいは俺達を知っていた。
だから一か八かの賭けで俺に会った。
違うか?」
「………」
「無言は肯定。
安心しろ。賭けでお前らは勝った。今更降りろとは言わねぇよ」
………軽くばれてる所か全部ばれてた。
私は言葉が見つからず、お酒を煽っているローさんを見つめてゆっくりと尋ねた。
「どうして…?」
「お前は俺に害をなさない」
私を見つめ言い切ったローさんに私は息を止める。
息は止まったのに、逆にうるさいくらいに心臓が高鳴っていた。
頭が熱くて、黙ってローさんを見つめ返していたら、ふっと軽くローさんは笑った。
「半分冗談だ」
「え」
「この島にはログが溜まるまでの間…、4日滞在する。
俺達が来たのは3日前。当然、島の中は探索している。
だが、この島には町はなく、無人島だった。
なのにお前らは突然現れた。クルー達も当然気づいてるだろうな」
近くを通った船員さんから飲み物を受け取ったローさんが、私のコップにそれを注いだ。
それはオレンジジュースで、私とローさんのコップに同じ物が注がれる。
「まぁ何にせよ。一旦、俺の船に乗ったんだ。
もう降ろさねぇよ」
私達は幸運だ。
ローさんが言うことはきっと本当で、私達がこの船に乗らずにいたら、無人島で置き去りで死んでいた。
もちろんローさんに船に乗せないと言われても同じ結末で死んでいた。
私達は幸運だ。
トリップだなんてびっくりするようなことをしたけど、私達は救われた。
嬉しくなって手持ちのコップを揺らしながら、緊張が解けて、ローさんに笑いかけた。
「きゃぷてん。私、貴方を海賊王にします」
言い切った私に驚いたんだろう、ローさんがにやっと笑って「当たり前だ」と言いながら私の頭を乱暴に撫でた。
髪がぐしゃぐしゃとだ、と涙目になっていたら、ローさんはコップに口をつけていた。
「…甘い」
「ジュースですもん」
「いらねぇ。マリア、飲め」
私の手には2つのコップ。
私の名前を呼んでくれたローさんにまた心臓が爆発しそうに高鳴る。
びっくり。私の身体が言うこときかない病気みたいだ。
ローさんが奨めるままにコップに口をつけると(もちろん自分のだ)、身体中に熱が篭るし、頭がぽやぽやする…?
「マリア!? あんたそれ酒よ!?」
サヤが私に声を飛ばす。
サヤは変。だってこれはオレンジジュース。
でもキャスケットくん(本名シャチくん)とかベポちゃんとかが慌てたように、ペンギンさんが呆れたようにローさんを見た。
そのままペンギンさんが呆れた様子のまま私からコップを取って香りを嗅いだ。
「船長、これスクリュードライバーですよね」
「すくりゅーどらいばぁ?」
「簡単に言えばオレンジジュースinアルコールだ。度数も弱くはない。
というか、気付いていたでしょう」
「飲ませたら面白そうだった」
「マリアに何してんスかー!!」
サヤが私の身体に突っ込んできて抱きしめてくる。暑い。喉が渇く。
「やー!! オレンジジュースちょうだいッ」
「駄目だよ、マリア! 酔ってんじゃん!」
「酔ってらい」
「呂律も回ってないのに信じてやんない」
本当に酔ってないのに!
「ジュース飲む! すくりゅーどらいばーっ」
「あぁ、飲ませてやる」
「キャプテン! マリアは酔ってんだから飲ませないでつっーの!!」
「サヤ、お前、船長を敬ってんのか何なのかわかんねぇよ」
みんな騒いでる。
楽しそうに騒いでる中で私の目はローさんを追いかけてる。
心臓は激しく止まらなくて、顔が熱くなる。
どうしてかな? ってずっと考えていたら答えは意外にもあっさりと出た。
「きゃぷてん、好きー」
「!」
私は思ったそのままに口にしてローさんの背中から飛びついた。
サヤが騒ぎながら私を引き離そうとするけど、離れたくないからローさんを抱きしめていた。
「マリア酔いすぎ!」
「だってきゃぷてん好きだ! No Like、Yes LOVEだ!」
「訳わかんないし! キャプテンのせいっスからね!?」
サヤがローさんに騒いでる。
私は爆笑しながら不思議に黙っているローさんを覗き込んだ。
「きゃぷてん? きゃぷてんは私きらい?」
「……質の悪い酔っ払いだな、お前は」
私の目の前はローさんでいっぱい。
顔が熱い。心臓が高鳴る。好き好き好き。
私が嫌い?と聞くと、あれだけ騒いでたサヤが静かになった。
ペンギンさんとキャスケットくんは「我関せず」を貫いていて、さっきから私達を放っている。
ローさんが口を開いた。
それは私の質問への答えだった筈なんだけど、私の意識はそこで途絶えていった。
†††
マリアと一緒にトリップというものを体験して、よくわからないまま海賊船に乗り、酒飲んで騒いでいた。
そのマリアは、今、あたしの目の前で酔っ払って横になっている(確実にそこにいるもこもこ帽子のせいだ)。
ローはいきなり倒れ込んだマリアを抱えていて、ゆっくりと横にした。
話を聞けば、彼は外科医らしい。
マリアの首に触れたあと「酔っ払いが」と呟いていた。
それより気になるのはさっきローが答えた返事の方。
丁度マリアが倒れて、答えが聞こえなかったのだ。
「なんて答えたんスか?」
ローは答えてくれはしない。でもその怖い顔に似合わず、頬が赤い。
何というかマリアの危機。このサヤ様がしっかりしてやらなきゃ!
「マリアはあげませんっスよ!」
「なんも言ってねぇだろーが」
「そんなこと言って、マリアが可愛かったから船に乗せたんじゃないんスか?」
「………」
うわ。黙られた。無言は肯定。って事は。
「嘘、図星?」
「…………"ROOM"」
彼が呟いた瞬間、あたしの回りに何か透明な半円みたいのが現れ包みこんだ。
ペンギンやシャチや他の船員がダッシュで半円の外に飛び出してから、あたしに哀れんだ目を向けている。
ちょ、おい。あたしはONE PIECEは知らないんだ! これは何だ!?
「シャンブルス」
そして謎は身を持って体験させられた。
†††
初めて見た顔の女2人は、どこか違った空気を感じて
俺は興味本意で近付けたのに、
海賊王にと言った少女に逆に引き寄せられた。
(ワンピ好きとワンピ知らずの2人がトリップしました)