ロックハート先生のお部屋に残された教師陣達。
私は未だ不服そうなスネイプ先生を見上げました。

「マンドレイクはどれくらいで成長しましたっけ?」
「半年程だと聞く」
「それまでに犯人を見つけよう」

ダンブルドア校長先生が険しい声でそう言います。私達は深々と頷きました。そんな中ロックハート先生がにっこりと笑いました。

「私にお任せ下さい! すぐに犯人を見つけてみせましょう!」

スネイプ先生の表情に殺意に似たようなものが浮かびました。
それに気づいた私は慌ててスネイプ先生の腕に触れます。

「で、では、私達は戻りますね!」

苦笑を零したマクゴナガル先生達におやすみなさいと挨拶をして、私はスネイプ先生を引きつつお部屋を出ます。
わかっていたことではありますが、スネイプ先生とロックハート先生の相性は良くないようです。

お部屋を出て、少し悩んだ私はスネイプ先生から手を離して、地下牢教室とは逆の方向へと歩き出します。
スネイプ先生が怪訝そうな顔をしました。

「何処へ?」
「もう1度見に行きたくて。先に戻っていてください」

そう声をかけると、スネイプ先生は溜息をついてから、歩き出した私の後ろについて、彼も歩き出しました。
すぐに追いついて隣に並んだスネイプ先生に私は苦笑を浮かべます。心配性な方です。

先程の場所にたどり着くと、地面にはまだ水溜りが広がっていました。
その水溜まりを避け、壁に近づいてしゃがみます。スネイプ先生もじっと壁を見つめていました。

「…『秘密の部屋は開かれたり。継承者の敵よ、気を付けよ』。
 不気味ですねぇ」

しゃがんだまま、私は壁に手を伸ばして文字に触れます。文字は赤く血のようなものでしたが、魔法がかかっているのか、通常の血のように黒ずんでいくことはありませんでした。
これでは簡単に消すこともできないでしょう。私は長く息をつきます。

「君は知っていたのか?」

静かにされた問いかけに、私はしゃがんだまま、スネイプ先生を見上げました。
黙ったまま彼を見つめると、表情をしかめるスネイプ先生が言葉を続けます。

「パーティー前、君はここにいた」

言葉を聞いて、なんて答えるか迷った私は小さく微笑みを浮かべました。

「そうですね」

結局一言だけ答えて立ち上がります。スネイプ先生は勿論、納得したような顔はしていませんでした。

それでも私が歩き出すと、黙ったままではあるものの、スネイプ先生もすぐに私と並んで歩き出していました。

暫く黙っていたスネイプ先生がやがてゆっくりと口を開きます。

「秘密の部屋の伝承のことは?」

私は頬に手を当てて悩むようにしてから言葉を返しました。

「詳しいわけではありませんが…、ええと、ホグワーツ創始者の1人であるサラザール・スリザリンがホグワーツの何処かに『秘密の部屋』を作った。でしたっけ?」
「スリザリンの真の継承者が現れた時、部屋が再び開かれる、とも」
「なるほど。それで継承者の敵よ、気を付けよ。ですか」

私も記憶を再確認する中、ちらりとスネイプ先生を見上げました。

「実は私もマグル生まれなんですけれど、継承者の敵になっちゃうと思います?」

さらりとそう問いかけるとスネイプ先生は険しい顔をしてから私を見下ろしていました。

「……魔法族の生まれだと思っていたが」
「父親も、そして母親も魔法族ですよ。
 ただ、私は養子縁組をして頂いたので、2人とは血の繋がりはないのです」

リーマスさんと、そしてドーラさんは、たとえ今は違ったとしても私のお父さんとお母さんなのです。
2人を思い出して幸福感に、にこりと笑うと、スネイプ先生は険しい表情を呆れたような表情へと変えました。そして聞こえる溜息。

「…何にせよ、君も気を付けたまえ」
「はーい」

呑気に返事をして、私達は今度こそ地下牢教室の方へと歩いていきました。


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