やがて夏休みも終わり、9/1になりました。新学期が始まり、ホグワーツに沢山の新入生がやってきました。
今年はこの沢山の生徒のどこかにハリーやロン、ハーマイオニーもいるはずです。

まだ色のないネクタイをした1年生達が組み分けのために大広間に入ってきます。
その生徒の興味津々に目を輝かせている姿を見て私の頬も緩みます。私も前はあんな感じだったんですかねぇ。

視線を彷徨わせていると、ようやっとハリーの姿を見つけ、そして沢山の『元』同級生の姿を見つけて、自然と笑みが溢れます。

そして歌いだした組み分け帽子。帽子の歌をにこにこと聞いていると隣のスネイプ先生がちらりと私を見ました。
それに気がついて視線を向けると、すぐにそらされてしまいました。私は彼を見つめたあと少しだけ首を傾げます。

歌が終わった共に響く拍手喝采。始まった組み分けを頬を緩ませながら聞きます。
知った面々が、知ったとおりの寮に配属されていくのを不思議な思いで見つめます。

ハーマイオニーはもハリーもグリフィンドール。最後に呼ばれたロンももちろんグリフィンドールに配属されました。

組み分けが終わると同時に大皿に盛り付けられる豪勢な食事達。
今までずっと食欲がなかった私でしたが、今日はなんだかたっぷり食べられそうな気がします。

皿にパスタをちょこんと盛り合わせている途中で、ほとんど首なしニックとお話しているハリーをスネイプ先生がじぃと見つめていることに気がつきました。
お皿に視線を戻して、彼に視線を向けないまま、私は問いかけます。

「ハリーが気になります?」
「……」
「有名人ですものね、彼。
 …何も問題がなければいいんですけれど」

それはないと知っている私は、歯がゆい気持ちでスネイプ先生と同じくハリーを見つめます。
あまりにも見つめすぎていたのか、ハリーが教職員の席へと視線を向けて、私と目線があいました。

微笑みを浮かべて小さく手を振ると、ハリーはきょとんとしたあとに照れたようにはにかんでいました。
隣のスネイプ先生が不満げに私を睨んでいました。私はくすくすと笑って肩を竦めます。

「怖い顔していると生徒が逃げちゃいますよ?」

私が笑いかけるとスネイプ先生は短く鼻で笑って、無言のまま私の前にレンズ豆のスープを置きました。
これも食べなさいということなのでしょうが、私はじとりとそれを見つめて顔をしかめます。

「これは…、あまり好きじゃないです」
「子供」

スープをスネイプ先生の方へ押し返すと、彼は呆れたようにそう言いました。私はいつもの彼のように言葉を無視してからふふと笑いました。


†††


新入生がまだあちらこちらで迷子になっている中。困っていた1年生を案内してから地下牢教室に戻ります。

ノックをしてから先生の私室に入ると、スネイプ先生は私が作成した研究資料を読んでいました。
私は紅茶を飲んでから教室に行こうと思って、紅茶セットを取り出します。

慣れたように2つカップを取り出すと、研究資料から視線を逸らさないスネイプ先生が立ち上がり、私がカップを置いたその隣にアールグレイの紅茶缶を置きました。
苦笑を零した私は、大人しくアールグレイを淹れることにします。空のカップを温めながら、私は再びソファに座った先生に問いかけました。

「次は1年生の授業ですよね。用意するものはあります?」
「山嵐の針の補充は?」

視線を向けられることなく告げられた言葉に、私は記憶を辿りながら、準備していた筈のものを思い出します。

「えーっと、とりあえず1クラス分くらいは入れておきましたけれど、もう少し増やしておきます? きっと失敗してしまう子もいるでしょうし…」
「必要分だけでいい」
「えー」

不満の声をこぼしますが、彼は私の不満など全く気にする様子もありません。
いつものことではありますので、私も深く気にすることなく、紅茶をカップに注ぎました。

彼の隣に紅茶を置いて、資料を眺めている彼を見ます。その資料を書いたのは私ということもあり、彼の感想が気になって仕方ありません。
我慢できなくなった私はおずおずと声をかけました。

「あの、どうです?」
「…発想自体は我輩にはないものだ」

興味深そうにそういったスネイプ先生に私の表情が輝きます。ですが、先生はすぐに私に厳しい目線を向けました。

「だが、手順と予想が甘い。君は本当に調べながらやっているのか?」

厳しい先生の言葉。彼が一言多いのはいつものことです。
しょんぼりと肩を落としてから、紅茶を飲み干して立ち上がります。

「先に教室に行ってまーす」
「これに書き込んでも?」

どうやら彼自ら添削をしてくださるようです。私はにっこりと笑顔を浮かべて「よろしくお願いします」とぺこりと頭を下げます。
スネイプ先生に見ていただければ、私も自信を持てます。彼が闇の魔術が好きだということは知っていますが、決して魔法薬学が嫌いな訳ではないのです。

ふふと笑みを零した私は勝手に置かせてもらっている教科書や羊皮紙を抱えて教室へと向かいます。


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