授業終了のチャイムと同時にリアはジェームズの脇腹あたりに自分の鞄をぶつけた。
痛みに呻くジェームズにリアは満面の笑顔を向ける。それは少しでも気のある異性なら惚れてしまうほどの美しさだ。

「ごめんなさい。ぶつかってしまったわ」
「ちょ、リア、今の絶対、わざと――」
「悪い、ジェームズ。手ぇ滑った」

リアが鞄をぶつけた場所と殆ど同じ位置をシリウスが持ち上げた大鍋がぶつかった。
棒読みのままシリウスが謝る。ジェームズが反論した。

「何さっ、僕はピーターと組んだだけじゃないか!」
「セブルス、仲直りしましょー」
「あぁ」
「君達、本当は喧嘩なんてしてなかったんじゃないか!?」

リリーと別れ、歩いていたセブルスの背中を追い掛けるリア。
ジェームズの突っ込みなど綺麗に無視し、リアはセブルスの隣に並んだ。

「……ごめん。大変そうだったな」
「大変だったわよ。本当」
「今度、何か贈る」
「じゃあセブルスのオススメする美味しい紅茶が飲みたい。私、焼き菓子つくるから一緒に食べましょ」

「リア達、凄い仲いいじゃん。
 隣の男、誰だっけ?」
「セブルス・スネイプ」
「さすがシリウス。リアにつく男は調査済みかい?」
「お前、本当、アバタるぞ」

教室から出ていくリアとセブルスの後ろを歩きながら、ジェームズはニヤニヤ笑いを治せないでいた。

「気になるなら話し掛ければいいのに。
 リア、実はちょっと嬉しそうだったよ」
「冗談。気にもならねぇよ、あんな奴」
「でもシリウスも楽しそうだったよ」
「だ、れ、がっ」

キッと視線を強くさせたシリウスがピーターの両頬を抓り、ぎゅうと伸ばす。

ハハハと笑うジェームズの横をハッフルパフの女生徒が通り、シリウスに話し掛けた。

「シリウス! 授業終わったの? 一緒に行こう」
「ん。あぁ。
 ジェームズ、ピーター。俺、先行ってる」
「この前の女の子と違うようだけど」
「あぁ? …フったんだよ。どうでもいいだろ」

腕に絡み付く女生徒がニコリとシリウスに微笑みかけ、シリウスとその女生徒はジェームズ達を置いて先に進んだ。
ジェームズは少し険しい顔をしながら、その背を見つめる。

そこで、ピーターが静かにジェームズの服の裾を引いて気を向かせた。

「ピーター?」
「リアがシリウスを見てる」

ゆっくり視線を辺りにまわすと、リアが黙って女生徒と歩くシリウスを見つめていた。
リアはジェームズ達の視線に気付くと、隣のセブルスの腕を引き、黙ったまま廊下を歩いていった。

ジェームズがニヤリと笑っていた。


(I'm sorry that I was a bad friend to you.(悪い友達でごめんなさい))

でも変化を待ち望んでいるんだ。


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