部屋に入り、扉を閉めると同時に、シリウスは苛々とリアの肩を掴み、壁へと追いやった。
痛みに顔を歪めたリアをよそに、シリウスが囁く。
「あいつらに媚びでも売ってる、つもりかよ。何が、何が『シリウス様』だ」
「………嫌だったなら、謝るわ。
私はおば様やおじ様にご心配はおかけしたくないの」
「気持ち悪ぃんだよ」
吐き捨てたシリウスに、リアが俯く。
リアは肩に置かれた手を静かに払うと、シリウスから離れた。
彼に背を向け、荷を解きはじめる。彼はそれを少し離れた位置で見つめていた。
「……本当にごめんなさい。でもおば様達の前だけ、我慢して。
あとは、呼ばないから。名前。
……嫌い、なんでしょう? 私の声で名前呼ばれるの」
そう語るリアの背中が酷く小さく、弱く見えて、シリウスは苛々とした。
苛々としたことに対して、また腹立たしくなった。
(そうじゃ、ねぇんだよ)
握った拳をどうすることも出来ずにただ、荷解きをするリアの背中を見つめていた。
(She hasn't grown at all.(彼女は何も成長していない))
成長など、出来るはずもない。