それ以来シリウスとジェームズは日々、恒常的に悪戯をするようになり、学校内でも問題の種となっていた。
シリウスとジェームズ。そしていつも側にいるリーマスと、ピーター・ペディグリューの4人で『悪戯仕掛人』という名前を名乗り、それが徐々に浸透して言いた。。
彼らが悪戯をし、シリウスが笑っているのを見る度に、リアは足を止め、それを見ている事が多かった。
行動を共にしているセブルスがそれに気がつかない筈はなかったが、何も言わずにリアを見つめていた。
そして、彼らが悪戯をし、同じグリフィンドール寮生のリリー・エバンズが彼らを止めるのを、セブルスは見ていた。
リアももちろん、それに気が付いていた。
「ねぇ、図書室に行きましょ、セブルス。
DADA(闇の魔術の防衛術)の宿題、わからなくて」
「あぁ。僕もまだ終わっていない」
2人のスリザリン生は騒ぎに背を向け、歩き出した。
ついた図書室でDADAの資料を読み耽っていると、小さくリアの名前を呼ぶ声が聞こえた。
「リア、久しぶり」
「………えぇ、久しぶり」
悪戯仕掛人のうちの1人、リーマス・ルーピンだった。
リアは声をかけると、リーマスが隣に座るのを静かに見ていた。
向かいにいたセブルスがちらりとリアを見たが、すぐに視線は本に戻された。
干渉はしないという合図だろう。
リーマスはリアに笑顔を向けていた。
「学校はどう?」
「……私は、楽しいわよ。ほら、セブルスもいるし」
「よかった。
シリウスがリアの事を一切教えてくれなくてね。心配してたんだ」
リーマスはポケットからチョコレートを取り出すと、リアに握らせた。
懐かしくも思えるそのチョコレートにリアは小さく笑う。
そういえば初めて会ったホグワーツの人間はリーマスだった。
そう思いながらリアは手の動きを止めて、リーマスへと向き直った。
その顔には自嘲の笑みが浮かんでいる。
「あの人が私の事をいうなんてありえないわよ。それこそ夏に雪が降るわ」
「それでもこの前、1度だけ言ってたんだよ。
『あいつは昔から兎が好きなんだ』って」
リアの笑みが止まった。
リーマスはリアを見つめると、手を伸ばして彼女の頭を撫でた。
されるがままになっているリアは俯き、無表情だった。
「あのさ、僕、きっとお節介なんだ。
君達が、僕の友達が悲しげな顔をしていたら、僕だって辛い。
だからさ、君達が喧嘩してるなら早く仲直り――」
「喧嘩なんかじゃないわ」
バンッとリアが立ち上がった。リーマスがそれを驚いた顔で見ている。
リアは酷く辛そうな顔をしたまま、何も持たずにそのまま図書室を飛び出していった。
唖然としたリーマスがリアの背中を見送る中、前にいたセブルスが本を閉じた。
また静寂を保った図書室にやけにその音が響く。
「リーマス・ルーピン。だったか」
「…うん。そうだよ」
「リアを放って置いてやってくれないか」
「………どうして…?」
セブルスが立ち上がり、リアが置いていった荷物を片付け、まとめた。
鞄を肩に背負い、少し背の高いリーマスを睨むように見ていた。
「リアはあのシリウス・ブラックのためにスリザリンに入ったんだ。
これ以上、リアに何かを求めるな」
「…ねぇ、それ、どういう意味――」
声を出すリーマスだったが、すでにセブルスは歩き出していた。
図書室には呆然と立ち尽くしたリーマスだけが残った。
(Hey you need to think twice before you do it.(ねえ君、よく考えて行動したほうがいいよ))
でも、考えてからじゃ、遅いじゃないか。