「お前、本当に乗るのか? 嘘じゃないよな?」
「何よ。ジャズ。私は乗っちゃいけないみたい」
「ちげぇよ、お嬢さん。
アイアンハイドから「スピカは乗らない」と聞いてたんだ。オプティマスも凄い落ち込んでたんだぞ」
トランスフォーマー内では小柄なジャズでも、人間のスピカと並べば比べられないくらい大きい。
間違って踏み潰さぬようにジャズは気をつけつつ、スピカの後ろを追っていた。
振り返ったスピカは悪戯に笑った。
「私はアイアンハイドに「この星が好き」って言っただけよ。
サイバトロンに残るとは言ってないよ。…行くとも言わなかったけど。
私は行っちゃ駄目?」
「駄目なことあるか。むしろ大歓迎さ」
「やった。ジャズ大好き」
スピカは立ち止まってジャズへと満面の笑顔を向ける。ジャズも顔のパーツを変化させて笑顔を作った。
笑顔を浮かべた2人の後ろから、黒い影が現れた。
スピカがにっこりと笑顔を向けると、彼は不機嫌そうに排気音を出した。
「スピカ! 紛らわしい言い方をするな!!」
「アイアンハイドが勘違いしただけじゃないのよ。ねぇジャズ?」
「んー。スピカの方が紛らわしい。
アイアンハイドに冗談は通じねぇよ?」
「みたいね」
アイアンハイドにひょいと掴み上げられたスピカ。そのまま彼の肩の上に乗せられ、スピカはクスクスと微笑んだ。
「アイアンハイドはすぐに私を肩に乗せるわよね」
「踏んでも困る」
憮然と言い切るアイアンハイドに、ジャズがからかうような声をかけた。
「スピカ、それはアイアンハイドの独占欲ってヤツだから。仕方ねぇんだ」
「まぁ。じゃあ我慢するわ」
「そういえば出発にあたって武器を新調したんだが、試し打ちさせてくれるのか? チビ共」
人間のスピカと、アイアンハイドよりは小柄のジャズに向けられ、2人は苦笑を浮かべ、両手をあげた降参のポーズ。
フンッと鼻を鳴らしたアイアンハイドがスピカが落ちないように気をつけながら歩き出す。その後ろをジャズがついていく。
「ほら、そろそろ出発だ。行くぞ」
(start. 出発)