02
あっ今日はテーマパークっぽい。
広大な敷地を見渡せるとほどの高さからその施設を見下ろす。そこは大きく6つのゾーンに分かれているようだった。
パッと見て一番楽しそうなのは、ぐるぐる巻きになっているウォータースライダーがある水のゾーンだ。あとは住宅街が崩れていたり、岩肌がむき出しの山っぽかったりするので、きっと揺れたりびっくりする系のアトラクションに違いない。そういうのは心臓が弱い人が乗ってはいけないのだ!
私はふわふわと漂いながら、中央の円形の広場へとゆっくり近づいた。
現実では考えられない翼が背中に生えているところも、これが夢であると認識できる一つだ。
まあ移動するときの感覚は翼を動かして進むというよりも、漂って移動するという感覚に近い。
広場に近づくと、いつものごとく戦闘が行われていた。
相変わらず戦いが多い夢である。そんなにマーベル作品のようなアメコミやSFを見ているわけではないんだけどなぁ。
あ、でた金髪ウサギアメコミヒーロー。一人だけ画風が違う男。
これは夢の中ですと言わんばかりに人の形をとっていない登場人物が多く出てくる中でも、一人だけ彫りの深さが一線を画しているのだ。きっと金髪ウサギのコードネームはゴールドラビットに違いない。略してゴルラビだ。
このゴルラビの戦闘能力は高すぎるゆえに「なぎはらえ!」ができないことが多い。その場合、すぐに別の夢に切り替わってしまうので面白くないのだ。
今日のこの夢もすぐに終わってしまうのか、と落胆しているとあらあらどうして珍しくゴルラビが左側腹部から出血しているではないか。
よくよくみると、未成年たちが十数人いてみんな顔こわばってるし、成人男性が右ひじと顔面から血をながした状態で緑の髪の女の子に抱えられているしで、かなり緊迫状態であることが知れた。
むむっ、これは私のターン!
意気揚々とゴルラビへと向かっていく。
今日の敵は手がいっぱいのやつと黒いもやもやと脳が半分でてるエイリアンだね!!
行くぞゴルラビ!!なぎはらえ!!!!
*
この場で唯一私の活動限界を知っている緑谷少年の心配をふりきり、3人の
確かに、時間はもう1分とない。力の衰えは思ったよりもはやい。
ぐっと拳を握った時に、白いモヤが私の視界に入った。
この距離まで全く気配を感じなかった!新しい
3人だけでも厄介だというのにっ!たらりと額から汗が垂れる。
しかし、その杞憂はすぐに終わった。後ろから汗を吹き飛ばすようにふわりと優しい風が私を包む。
視界の端には白い羽が見えた。何より、この状況で周囲から何も反応がないのはおかしい。
そこで、ここ最近よく耳にするようになったある噂が頭をよぎる。
ヒーローがピンチの時に現れる女神がいる。
輪郭がぼやけた真っ白な手が
その瞬間、力の奥底から力がみなぎってくる。
「きみは、そうか、きみが噂の
猛スピードでむかってくる脳無へ拳で対応する。
「”個性”がショック無効ではなく、吸収型ならば限度があるんじゃないか!?」
次々と繰り出される拳を避け、拳で攻撃を与えていく。
左脇腹に攻撃をうけようとも足を後ろに下げることはない!
「私の100%を耐えるなら、その上からねじ伏せよう!!」
内臓の損傷に加え、活動限界間近で100%を超える攻撃を繰り出しているせいで口から血液があふれる。
後ろからまた羽がふわりと飛んでくる。まだ戦えるだろう、と無理やりに後押しされているようだ。
そうさ、私達にはこの言葉があるんだ!!!
「こんな言葉を知ってるか!さらに向こうへ”Plus Ultra”!!!!!」
右手に最大出力の力を込めて、脳無を空高く向こうへ吹き飛ばした。
「全盛期では5発で十分だったのに、300発も打ってしまった」
*
ふふふふ!いいぞいいぞ!ゴルラビ!やっておしまいなさい!!
おっせーおせおせおせおせゴルラビ!!
血を吐いても頑張る姿に、正義のヒーロは命がけだなと思う。
もっとなぎはらうのです!そうだ!思いっきり拳をふりかぶってー!!!なげたーーー!!!!
天井をぶちぬいて遥か彼方へと敵をぶっ飛ばしたゴルラビはさすがである。
あの速度で300発も拳を繰り出せるその肉体、とてもパワーです。ハッ。
脳がでてるエイリアンを倒したと思ったら次は手のやつと黒モヤが突っ込んできて、一瞬ひやりとしたけどすぐに助っ人が登場して敵は去っていった。
ほんとヒーローって遅れて登場するの好きだよね。早く到着すればもっと早く解決するんじゃないの。
うわ、私もあのYEAAAAA!て叫んで倒すやつやりたい!絶対ストレス発散なる!
は〜今日もいい逆転ホームランだったな、物理的にもよく飛んだし。と満足して目を覚ました。
「公子今日も機嫌いいね。アソパンマンだったの?」
「うん。まじゴルラビがバイバイキーンだった」
「ほんと意味わからん」