10

「マクギリスっ‥!本当なのっ!?ガエリオが亡くなったって‥。」

青白い顔をして私を出迎えてくれたルチアは、信じられないといった顔で、慌ただしく私を問いただした。
じっと私の言葉を待つ彼女に本当のことを告げる事は少し良心が痛んだが、隠していてもいずれ知る事になるのには変わりない。

「ああ。近々葬儀が行われるそうだ。」

「そん、な‥っ。」

その場に力なくへたりこもうとした彼女を抱きとめる。

「カルタ姉様も、ガエリオも、みんなみんないなくなっちゃって‥っ、私、わたし、どうしたらいいかっ‥わからない。」

小さな子供のように泣きじゃくるルチアの背中をあやすように撫でると、彼女は少し落ち着いたようだった。

「まだ、私がいる。これからはカルタやガエリオの代わりに君を守ると約束しよう。」

「もう、私にはマクギリスしかいないの‥。お願い、私の前からいなくならないで。」

「ああ、勿論だ。」

大好きな義姉も、自分に愛を告げた男も奪った当の本人に縋る彼女の姿は滑稽で、ひどく愛らしかった。
彼女の心を占めていたカルタも、ガエリオも、もういない。
ようやく私だけのものになったルチアを、もう離しはしないと誓いながら、強く彼女の体を抱きしめた。