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今日はガエリオの葬儀の日だ。
つい先日カルタ姉様を見送ったばかりなのに、今度はガエリオの葬儀だなんて、本当にどうかしてる。
流し尽きたと思った涙は、止まることを知らず、油断をしていると今でも不意に涙が溢れそうになる。
でも、今日だけはしっかりとしなくては。
兄の死を悲しみ、涙を流すアルミリアを前に、私が泣き崩れるわけにはいかない。
私を慕ってくれた彼女は私が嘆き悲しむ様を見て、余計に動揺するだろうから。

そんなアルミリアの側には沈痛な面持ちをしたマクギリスが彼女を支えるように連れ立っていた。
ガエリオがいなくなった今、アルミリアが心から頼ることができるのは父を除いてマクギリスだけだろう。…それは私も同じなのかもしれないが。

「ルチア。」

「ガルス様。」

私に声をかけてきたのは、今回の葬儀の喪主でもあるガルス・ボードウィンその人だった。

「息子から君に結婚を申し込んだという話は聞いていた。…本当に残念だよ。私も君が娘になってくれるのを望んでいたのだが…」

「そう言って頂き、ありがとうございます。…今回の件、本当に…お悔やみ申し上げます。」

「君はまだ若い。息子のことは、どうか忘れてくれ。」

はいと言いかけた言葉の先が出てこなくて、私は軽く頭を下げる。
目を伏せると、ガエリオとの今までの思い出が蘇ってきて、忘れるだなんて出来るのだろうか。
そう自分自身に問いかけてみても、答えはいつまでも出てこなかった。