幕間

『私の名は太宰。太宰治だ』

そうこの男は云った。
あの長身な男性、国木田さんによれば自殺嗜癖(マニア)だという明らかにおかしい人。おかしい人と言ったら失礼だと思うけど、それしか言いようがない。
不思議な人だったり、変わった人でも全てにおいて度が過ぎていると思う

『私はあまり犯罪者を信じないようにしているんだが…』

そして、清水紫琴さん。口調はお淑やかな女性で身に纏っている衣類はブラウスに細いリボンを付けているし、何かヒラヒラしているスカート穿いている本当にお淑やかだ
……襲ったときの豹変ぶりを除けば


そんな人たちに奢ってもらうべく付いて行っているわけだが…さっきから気になることが一つだけある。


「ねえねえ紫琴〜今日ずっとどこに居たの〜?私ずっと一人で寂しかったよー」
「一人って…国木田さんが居るでしょう?22にもなって独り身が寂しいとか…最悪ですね」
「嗚呼!例え私を罵倒する君でも尚可愛いと思ってしまう!嗚呼…私の奥さんは如何してこんなにも愛着があるのだろう!」


そう。太宰さんがずっと清水さんの後ろをくっついて歩いていること。
あまつさえ、太宰さんが高身長なため前を歩いているであろう清水さんの姿が見えないし、太宰さん若干押しが強い。清水さんが引いている


「あ、あの…お二人はどういった関係で?」
「私と紫琴かい?そうだね…強いて言うならば夫婦かな?」

「国木田さん、太宰が其のゴツい手で殴ってくれとの事です」


僕がぼーっと考えている間に三人は三人で話は進めるはあのおしどり夫婦?の二人で勝手に世界を作って入ってしまう
――夫婦か…夫婦という言葉に少々引っ掛かってしまった。
僕…両親に捨てられたから、あまりいい思い出がないんだよな…ははは



「着いたよー敦君」

そう太宰さんが言ったから顔を上げると一軒の茶屋だった。
僕、茶屋なんて行ったことないかも…


店に入ると、美味しそうな匂いがたち込んだ

「さぁ!思う存分食べ給え敦君!」
「太宰君、此方たちは国木田さんにご馳走になるんですよ」
「俺は何も貴様等まで奢るとは云っていない!おい小僧。空腹が為に言っておくが限度というものも踏まえて食えよ」


この人たちは一人一人独特だけど…皆いい人たちだ。


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