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「何で僕が……」
只今早乙女世羅、某空港前。
彼女はある男の帰国を待っていた…いや待たされていた。
時は少し遡り____。
――社長室
『今からyouはシャイニング空港に行ってちょ!』
『……理解に苦しむ。日本語で話してくれないか』
『ノンノン!これはJapaneseでぇす!Ms.世羅には今からシャイニング空港へ行ってもらいマース!』
『はぁ、…どこをツッコんだらいいのか分からなくなるが…まぁいい。命令なら仕方がない、引き受けよう』
『Oh!youならそう言ってくれると思いまーした!Thank Youベリベリーマッチング!』
『で?空港で何すればいい?林檎の撮影の付き添い?それとも何か仕事?』
『ズッバァリ!!Mr.カミュの帰国の出迎えナノナノォ!』
『断る。』
『Oh、逆らったらクビでーすが?』
『離せっ!アイツを出迎えるぐらいなら、クビになった方が…いや、腹を切った方が幾億分マシだ!』
そんなこんなで往生際の悪い世羅はシャイニーの脇に抱えられヘリで無理矢理連れてかれたのはほんの数十分前…
「チッ…大体僕が直々にアイツの迎えなどに来させられたら本当に僕とアイツに上下関係が生じるだろう…」
「遅いぞ愚民」
ふと、後ろから低い声と身分の格差を示す呼び名で呼ぶ声が聞こえた
それが誰かなんて聞くまでもなく…
世羅はそれを分かっているからか振り返ることもせず、そのまま飛行機が空港から離脱するところを眺めたまま口を開いた。
「態々迎えてやったのにその言い草、少しぐらい感謝しろ伯爵殿」
「ふん、臣下として当然のことをしたまでだろう。感謝を述べる必要が何処にある」
「何処まで頭が高いんだ」
この男は昔からそうだった。
何時も自分を臣下として見下し給事などを全て自分にやるように強いる。
この迎えについてだって世羅が迎えに来ると分かっていた様な口ぶりだった。
「ねえ、僕だって本当はお前を迎えに行きたくなかったんだからな。義父さんの脇に抱えられて無理矢理…」
そのとき辺りからギャラリーが集まってくるのを背後から感じる
その上、
「あれ、もしかしてカミュ?」
「きゃあ!うそぉ!」
と、大騒ぎにされてはいないもののコソコソと話しているところからまた一人、また一人へと伝わりどんどん増えていくのを見て、世羅はさすがにマズイと悟った。
急に座っていた椅子から立ち上がることにカミュに不思議がられたので彼に一言。
「長居は不要だ。行くぞ」
そう言い、身長差のあるカミュの袖を引っ張って進む。ふと今日初めてカミュの顔を見たが、彼は変装をしているはしているのだが、やはり特徴的である長髪は隠しきれていない。
▽裏口
「随分と安易な変装だな伯爵殿、お前はもう少しギャラリーには敏感だと…」
「ふん、たかが帰国だ。そんな首都圏内を練り歩くわけでもあるまい」
密かなギャラリーから逃れた一向はシャイニーは本当に至るところに監視カメラでも取り付けているのかどこからか車が来た。
「さすがは早乙女だな。どこまでも抜かりない」
「あぁ、我ながら義父親が恐ろしく思う」
▽車内
車内は至って静かだ。寧ろ話し声が耐えないことが不思議なくらいこの二人は寡黙なわけだが、その沈黙を破ったのは意外にも世羅だった。
「伯爵殿も今日からマスターコースの寮に移住な訳だが…担当が…あー、…誰だったか」
「愛島セシルさんですか?彼はアグナパレスの皇太子とお聞きしました」
「あー、そうだった。お前外ではその面だったな。すまない聞いて悪かった」
「いえ、お嬢様が分からない事ありましたら何なりと私にお申し付けください」
そう外面での作り笑い通称、執事スマイル。
ただでさえ整った顔立ちなのにそれで微笑まれたらファンは出血死するだろう。
そうなれば、原因不明のままカミュが出血死容疑にかけられるという非現実的な妄想をたまにする世羅。
ふと、心の中で思ったことをさらりと言いのけ彼の地雷を踏むこととなる。
「似合っているのかよく分からんな。そのキャラ」
そう言うと、カミュは顔を一切歪めずにいるがその顔は固まっている。
しかも笑顔で…
これは心の底では腸が煮え繰り返るほど激怒したい気持ちだろう。
今にも暴れだしそうだ。その意味では帰ったあとが楽しみになるだろう。