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それにしたって、一体本当にどこへ行くのやら。
さきほど恭弥にボンゴレの屋敷から出れないことを伝えると「問題ないよ」の一蹴。
それって自分が許可したから出してもいいっていう問題ない、じゃないよね?
…いやいやもしかしたら恭弥の私室かもしれない。うん、そう信じよう。
小さな不安とともに運ばれていると小さな殺気が前から感じられて思わず身を固くする。
私に…ではない、けれどこうも見えないところで殺気を感じてしまうと居心地が悪いし、勝手も悪い。
それと同時にひゅん、と肩を銃の弾が掠めて思わず「恭弥、」と彼の名前を呼んでいた。
降ろしてもらわないと足手まといになってしまう可能性がある。
それに自分の身は自分で守れるのだから一緒に対応しようと思ったのだ。
しかし、恭弥は私の言葉を無視して降ろす気配は全くない。
「…なんのつもりだい?赤ん坊」
「何女を勝手に拉致ってやがる」
不機嫌そうな恭弥の声。
けれどそんなの聞こえないくらいに、私の精神は片一方の声を聞くことに集中していた。
−−−まさか、いや、そんなはず…でも、この声は…っ!
バクバク、と心臓が大きく波打ち、緊張で体が強張っていくのもわかる。
この声、リボーンそっくり…ううん、そっくりなんてものじゃない。
まさか、本人…?
「気に入ってね。ちょっと借りていくだけだよ」
「…娼婦でも拾ったのか?」
「…?君、この子が誰か聞いてないの?」
「聞いてねぇぞ。ツナに雲雀さんが勝手に拉致った人がいるから取りかえしてきてとしか言われてねぇからな」
誰だ?と言う言葉に私の心臓が破裂してしまうんじゃないかってくらい私が緊張してしまう。
ぎゅう、と無意識に恭弥のスーツを掴んでいると私にしか聞こえないような小さな声で「顔、あげないでよ」と言われて何のことかわからず、返事ができなかった。
それでも恭弥は私を降ろすことなく、気配だけで楽しそうに笑ったのがわかった。
「さぁね。沢田にでも聞けば?」
再び歩き出す恭弥に顔をあげるな、の意味をようやく理解する。
リボーンの隣を通りすぎるから、もし顔を見られたくなかったら顔をあげるな、そういう意味だったんだ。
とっさに私は顔が見えないように俯いていると、リボーンの視線が私に突き刺さっているのがわかった。
…気づかないで。
(気づいて)
ただ、それだけを祈った。
「…姫?」
と、リボーンが呟いたのにも気づかず……。
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