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全く歩く速度を緩めない沢田様に慌ててついていくと沢田様の執務室に帰ってくる。
少し遅れて執務室に入れば沢田様はすでに机に向かわれていた。



「君のお父上から連絡。オルマーノの仕事を手伝うように。
あと、ボンゴレの仕事は基本的にないから好きにしてていいよ」

「はい」



もう用はすんだ、とばかりに沢田様は目の前の書類に取り組みはじめられたので私は自室に戻ろう、と踵を返した瞬間、ばんっと勢いよくドアが開かれる。
誰、と思うのと同時に誰かがわかり、しっかり目があってしまってお互い目を見開いて驚いたのがわかった。
震えそうな手を必死で隠していると何も知らない沢田様の「リボーン、ノックくらいして」という注意の言葉でようやく意識をしっかりさせる。

いけない、何もない風を装わないと。

今だに私を見つめるリボーンに軽く頭をさげてその横を通りすぎようとした。



「…姫」

「…っ!」



低く、でも優しく呼ばれた声にぶわり、と私の中で蓋をしていた気持ちが溢れ出す。

すき。
好きよ、リボーン。今も忘れられない、大切な人。

でも、今はそれを口にできない。
気づかないふりをしてその横を通りすぎて、沢田様の執務室を出ると同時に自分の部屋へと走り出した。


涙で、もう何も見えない。



(あぁ、どうして)(こんなにも、)

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