14
あれから数日…リボーンとは会うこともなく、私はオルマーノのお仕事をこなしながら自由に時間を過ごしていた。
そのことに正直少しホッとしている自分がいた。
ボンゴレの人達は本当にいい人達ばかりで、最近では庭師の方やメイドの方たちとも仲良くさせてもらっている。
先程も新鮮なお花をもらったばかりで、今は私の執務室に飾ってある。
お花の甘い香りを楽しみながらふと何故か甘いものが食べたくなってきた。
…お菓子でも作ろうかな、久しぶりに。
今の時間ならお昼の片付けも終わってキッチンも空いているだろう。
そう思ったら即行動。
キッチンに行くとやはり予想通り昼食の片付けが終わったところらしく、私が顔を覗かせると嬉しそうに笑ってくれた。
「姫様、どうされましたか?」
「あの、実はお菓子を作りたいんですが、キッチンをお借りしてもよろしいでしょうか?」
「えぇ、もちろん!何を作られますか?材料なら用意いたしますよ」
「ありがとうございます」
その優しさにふわりと微笑むと礼には及びませんよ、と豪快に笑ってくれる。
コックさんのお言葉に甘えて必要な材料を伝えると道具から何まで色々と用意してくれた。
そのことに感謝しながら重さなどをはかって材料を手際よくまぜていく。
「ボスにプレゼントされるんですか?」
「………そう、ですね…はい、そのつもりです」
思わず返事に戸惑ってしまったがぎこちなくも肯定をしておく。
沢田様にあげようと思ったとしてもきっとこれは「いらない」と言われてしまうことは明らかだった。
…誰かにプレゼントするなんて、今は考えられないな。
沈みそうになった気分を目の前のお菓子のために無理矢理あげて作っていく。
ガトーショコラなのでオーブンで焼き加減を見ながら待っていると甘い香りに誘われたのか綺麗な女性がキッチンに入ってきた。
「姫…?」
「え、あの…」
どなたでしょう、という言葉が出かけたが私の名前を知っていることから相手は私のことを知っているようなのに、そう問いかけてしまうのは失礼だと思い、言葉をきった。
見たところによるとメイドさん達の制服は着ていないからメイドさんではないだろう。
それに私を呼び捨てで呼んだということはボンゴレの中でも守護者くらいの地位にいる人ではないかな。
(他の方々は絶対様づけなんだよね…)
- 14 -
*前次#
ページ:
top
ALICE+