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結局言葉がつながらず困っていると、こちらの気持ちを察してくれたのか「自己紹介がまだだったわね」と艶やかな笑みを浮かべた。
綺麗…同性である女の私でも思わずどきっとしてしまった。
「ビアンキよ、獄寺隼人の姉なの」
「隼人様のお姉様…!」
あぁでも確かに。
よくよく見てみればどこか似ているところを感じる。
ご存知であることは承知しておりますが、という前置きをいれて改めて自己紹介をする。
礼儀正しいのね、と微笑むビアンキ様にそんなことはありません、と謙遜した。
「そういえばこれを作っているのは姫なの?」
「あ、はい!」
「上手ね」
焼きかけのガトーショコラを見て褒めてもらえるとは思っておらず、思わず嬉しくて「ありがとうございます!」と笑っていた。
そんな私に「可愛いのね」なんて頭を撫でてくれるビアンキ様に心があったかくなる。
こんな方がお姉様だなんて…隼人様はなんて幸せな弟なんだろう。羨ましい。
「これは愛する人のために?」
「え…」
愛する人……
…では、ないな……
よく考えたら私の「甘いものが食べたい」という欲求だけで作ってるし。
その返答に困っていると、どうやら照れていると勘違いしてくださったようで「その気持ちはわかるわ」とうっとりしていた。
「私も愛する人のためにお菓子を作るもの…」
「ビアンキ様の作ったお料理っておいしそうです」
「ありがとう。まぁ彼ったらすごく照れ屋だから食べてくれないんだけど…」
「可愛らしい彼氏ですね」
「彼氏じゃないわ、愛人よ」
「え…!?」
愛人…?
愛人って、その人には他に決まった人がいるってこと?
それって、辛くないのかな…自分の好きな人が他の女の人と一緒にいるなんて……
そんな私の心の声を読んだようにビアンキ様は小さく、それでも綺麗に微笑んだ。
「いいのよ、彼さえ愛する気持ちがあれば」
「…愛する気持ち…」
「そうよ」
私にも、そう思える日がくるのだろうか。
…リボーンだけを愛して、ずっとその気持ちだけで生きていける…?
今の私にはきっとできない。
そんなことをしてしまったら私は恋い焦がれてきっと死んでしまう。
小さく苦笑をもらすと「いつかわかるわ」とビアンキ様は笑ったのだった。
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