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その夜、そろそろ寝ようかと思った時間に内線が鳴って私は不思議に思いながらもその電話を取る。
もしもし、と言うと綱吉だけど、という少し低い声。



「どうされましたか?」

「今度姫を同盟ファミリーに紹介するパーティーがあるんだけど」

「はい、出席させていただきます」

「…俺のパートナーとしてね」

「はい」

「ドレスは今度一緒に決めに『ボス』」

「…!」



行くから、という沢田様の声に被るようにして聞こえた甘い、高い声。
…あぁ、今…愛人さんと一緒なんだ。

普通なら悲しくなるはずに全く何も感じなかった。…自分でも不自然と思うくらい、全く。

軽く何も聞こえなくなるがとても微かだがちゅ、というキス音に黙ってて、というハスキーな沢田様の声が聞こえてしまった。
…聞こえていますよ、沢田様。
いちゃつくのでしたらせめて私との電話を終えてからにしてください、といいたくなるのを必死で我慢する。



「…詳しいことはまた明日説明する」

「わかりました。では、おやすみなさい」



早く電話を切りたくて、これ以上沢田様と話したくなくて、無理矢理会話を終了させる。
もやり、とした気持ちが不快だったからさっさと着替えてすぐにベッドに潜り込んだ。


あぁ、もう、…嫌な人。


そう小さく呟いて無理矢理私は目をつぶったのだった。
(せっかく、嫌いじゃなくなりそうだったのに)

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