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ボンゴレの庭園はいつ見ても美しい。
季節に合わせた花が完璧に計算された配置で植えられている。
今日も少し早い時間に起きて庭園に下りると朝特有の清々しい空気の中に微かな花の甘い香りがした。
朝露に濡れたその美しさに目を奪われていると背後でかさり、と小さな葉音。
振り向くと非常に特徴的な髪型…というか正直一度見たら忘れることができなそうな髪型の男の人がいた。
どこかでお見かけしたような気もするのだが…何故か思い出せない。
だが、やはり見かけたことがあるのは間違いないようであちらも私を知っていた。
「おはようございます」
「おはようございます、姫。早いんですね」
「はい…えっと、」
「あぁ、骸といいます。六道骸」
確か初めまして、ですよね。
と微笑まれたので初めましてなのだろうか、と首を傾げながらも初めまして、と笑い返した。
穏やかな笑顔、でもどこか気を許してはいけない気がするのは気のせいなのだろうか。…気のせいなら、いいのだけど。
今まで会った守護者の中で一番よくわからない人だと思った。
「…クフフ」
「…?(くふふって何だろう?)」
「中々面白い人のようだ」
突然の脈絡のない言葉に私も思わず首を傾げる。
そんなに笑うようなところあったかな……
真剣に考えて、先程の会話を思い出してみたが不自然なところはない。
もしあるとしたら、初対面である、と言われたことだろうか……
けど、初対面と嘘をついてメリットがあるはずないし、はっきり言ってデメリットもない。
冗談で言ってみたら本気にされて面白かった、とかだろうか。
どんなに考えてもそれはただの想像の範囲でしかなく、明確な理由がわからなかったため聞いてみることにした。
「面白い、ですか?」
「えぇ、面白い。ずぶなお嬢様かと思っていれば中々聡明なお嬢様だと思いましてね」
「…随分な言われようですね」
「気を悪くしたなら謝りますよ」
「いえ、むしろすっきりしました」
こうも歯にもの着せぬ言い方をされると逆に気持ちがいい。
裏で言われるより何百倍もすっきりする。
それで傷ついたりするほど弱くもないし。
そう真っすぐ見上げると最初は驚いたように目を丸くした六道様だったが次第に「クハハハハ!」と何故か大笑い。
というかさっきのくふふって笑い声だったんだ。…ここまで言うのもアレだけど変な笑い声。
「なるほど。あの雲雀恭弥も気に入るわけだ」
「恭弥が…?」
「またいずれ会うのでまたその時に」
クフフ、という笑い声だけを残して六道様の姿が消える。
霧の守護者というし…幻術だったのかもしれない。
でも、最後に残した笑みはどこか本当に楽しそうだったから少しだけ仲良くできるかもしれないと思った。
(その後恭弥に会ったらパイナップルの匂いがすると言われた。…パイナップルなんて朝食になかったのに…なぜ?)
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