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それから5分後。

「お待たせ」と言いながら現れたのは少しカジュアルなシャツに黒パンツ姿になった沢田様だった。
どうしてこの人はこんなふうにモデルのごとく着こなせるんだろう。…かっこいい。

行こうか、と微笑まれて歩き出す沢田様の隣に並ぶと自然と手を繋がれて思わず驚きと共に沢田様を見上げた。
沢田様は少し悪戯っ子のよな顔で「デートだからね」と笑うから私はただ顔を赤くして俯くしかなかった。

ボンゴレ御用達のお店は近いようで手を繋いだまま歩いていく。
時々ボンゴレの部下の人達にあって「ボスとラブラブだなー」と聞こえていないと思っているのか小さな声で言われていた。(聞こえてるんだけど!)

お店に着き、ドアを開けると待っていたように店員さん達がずらりと並び「いらっしゃいませ、綱吉様、姫様」と全員でお出迎え。
それがあまりにも圧巻だったから若干ひいていた私とは正反対に沢田様は慣れたようににこやかに笑う。
一番前にいた若い、これまた美人な店長様が蠱惑的な笑みを浮かべて一歩前に出て綺麗に一礼した。




「お待ちしておりました、綱吉様、姫様。
今日は姫様に相応しいドレス選びに私共全力を尽くしていきたいと存じます。
よろしくお願いいたします」

「よろしくね。期待してるよ」

「恐れ入ります。…では、こちらへ」




店長さんに連れられて中へ進んでいくと夥しい量のドレスがかかっていた。
華やかなものからシックなものまで多種なドレスに目が痛くなりそうだ。
その量に驚いていると店長さんの見立てで次々とドレスが選ばれていく。
最初は大胆にも大きくスリットの入った真っ赤なタイトドレス。
…わ、私にはレベル高すぎる気がするんですが…!




「却下。露出多すぎ」

「(って私が言う前に…)」




次はちょっと華やかになって薄緑のひらひらとしたふんわりドレス。
…うーん、何だか子どもっぽい気がするんだけど……




「悪くないけどちょっと子どもっぽいかな。保留」

「では…」




なんて、私が何か言う前に沢田様が全部言ってしまって私の出番は全くない。
時々イメージできないと言われて試着したりしてみるのだが、大体が「違う」の一言で流れてしまう。
ちなみに私がいいと思った黒のドレスは速攻却下された。

あれが一番露出少なくてシックだったのに…!

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