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沢田様に完璧なエスコートをされながら私は大きな城の中へ足を踏み入れた。
車を降りた途端先についていた守護者のみなさまが沢田様と私の後ろにつく。
ちらりと見てみると沢田様の後ろで一番近い場所にはリボーンの姿があった。
その姿に小さく動揺したが、それが周りにわからないように真っ直ぐ前を見て穏やかな笑みを作ってみせる。
沢田様と私を先頭に颯爽と歩く姿は他のマフィアには様々な目で見られる。
畏敬、羨望、試すような視線……
様々な視線の中を私たちは堂々とパーティー会場に入り、上座まで一気にあがっていく。
沢田様に導かれて私も上れば静寂が訪れ、みんながみんな、私たちを見上げていた。
「お集まりくださった皆様、今日は私たちのために来てくださり、ありがとうございます。
この度、ボンゴレ]世はオルマーノファミリー次期ボス、姫と婚約いたしました。
…姫、」
隣に立つ私に視線を向けられ思わず小さく驚く。
事前にした打ち合わせでは沢田様が「両ファミリーに幸あらんことを」と言って乾杯のはず。
打ち合わせにない行動に内心驚きながらも私は顔に出さないよう、微笑みながら沢田様の視線に応える。
沢田様はじっとこちらを見つめると私の前に跪いた。
ざわり、と揺れる会場。
私も思わず誰にも聞こえないように「おやめください、沢田様!」と強く止める。
跪くという行為は忠誠の証。だが、天下のボンゴレが忠誠を誓うなどありえないこと。
普通なら私が沢田様の前に跪き、彼に忠誠を誓うはずなのに……
動揺が走る会場の中、沢田様だけは真摯な目で私を見つめる。
「一生…俺の命にかけて、君を守ると誓う」
そっと、手袋の上から手の甲にキスが落とされる。
やめてください、と言うことを考える暇もなく、ただ沢田様の真摯な瞳から目を離すことができなかった。
−−−どうして、
どうして、こんなことをするんですか?
私はあなたにとってただのお飾りの妻でしかないのに……
あなたが私を愛してないことは知ってる。
こんな言葉真に受けてしまう方がおかしいの。
そう、頭で理解しているのに……
どうして、こんなにも……
胸が痛くなるくらい、締め付けられてしまうの…?
(答えは、知らないフリ)
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