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「十代目、敵襲です!」

「敵は?」

「どこのファミリーかは不明です!ただ、この会場まで入り込んでいる様子で…っ」

「…軽率なこと言わないでよ、隼人」




わかってます、と苦々しく返事をした隼人に自分の中にも嫌な予感が蔓延る。

…パーティー会場まで入ってこれた、ということは内部犯の可能性が大きいということ。
つまり、裏切り者がいる。

このパーティーは俺が出した死炎印つきの招待状がなければ入れない。
ボンゴレの死炎印は複製不可能。
ならば、本物の招待状で何食わぬ顔で入り込み、襲撃したと考えるのが自然だろう。

…けど、そうは考えたくない。

同盟ファミリーを疑うなんてことはしたくなかった。
強く拳を握りしめて逃げ惑う来賓の方々を守るように指示。
恐らく雲雀さんは敵と応戦しているだろう。
応戦は雲部隊に任せるとして、嵐と雨、そして何かに備えて晴は来賓の保護と後衛を任せた方がいい。
指示を飛ばしながら自分も応戦しているとリボーンが陰から飛び出てきた。




「ツナ、姫はどうした?」

「姫…、…雲雀さんと一緒だろ」

「雲雀?雲雀は一人で敵に突っ込んでったが…」

「…!?」




まさか、と驚きをあらわにすればリボーンの目が鋭く光る。
それと同時に嫌な予感がして、俺の体は直ぐさま走り出していた。

姫、姫、姫…!!

頼むから来賓達と一緒に避難しててくれ…!




「姫…っ」




搾り出した声の何と小さなこと。
−−−こんなにも焦っている理由なんて、考える余裕もなかった。

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