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敵を倒しながら姫の姿を必死に探す。
大体の敵はいなくなったはずなのに姫の姿だけ見つけることができない。
…なんで、見つけられない?

鎮圧の報告を途中で聞きながら姫を探すように命を下す。
最初のホールまで戻ってみると守護者はみんな揃っていた。
雲雀さんは不機嫌そうにむすっとしていて、そういえば、と違和感。…敵の手応えはなかったな。
同盟ファミリーの幹部は出て来なかった。ということは敵対しているファミリーだったのだろう。
けど、このボンゴレを襲撃するくらいだから少しくらい骨のあるファミリーかと思えばものの1時間ほどで鎮圧。

……ただの勘違いファミリーが突っ込んできただけなのか。

それとも……−−−




「…!誰だ!?」




明らかにボンゴレの人間ではない気配。
それが自身の上からして、反射的に常備している銃を撃つと天井が壊れ、誰かが落ちてくる。

黒マントで全身を覆い尽くす様は復讐者そっくりだが、どちらかというとマーモンのような得体のしれない雰囲気だ。
すとん、と黒マントの男が着地すると同時に守護者全員の武器が向く。
それに対して黒マントは全く動じず、不気味な沈黙を保っていた。




「…誰だ」

「………沢田綱吉だな」

「質問してるのはこちらだ」

「…姫様は頂いた」

「なっ…!」




ひゅん、と一発の銃弾が黒マントの横すれすれを通っていく。
リボーン、と撃った本人を短く諌めたがあまり聞こえていないようで鋭く冷たい視線で黒マントを睨みつけていた。

よく見れば他の守護者も手は出していないが、明らかに殺気立っているのがわかる。

…けど、もしかしたら諌めた自分が一番、落ち着いていないのかもしれない。
リボーンが撃たなければ、咄嗟に炎を放つところだったのだから。




「我等はボンゴレに復讐する者……愛する者を失う辛さを知るがいい…」

「…っ、待て!!」




掴む前に消える陰。…術師だったのか…っ

山本と雲雀さんが対術師用の匣を開口したが、その成果はなく。
跡形もなく消えた男に拳を握りしめるとすぐに指示を飛ばす。
姫をさらったファミリーを突き止めるように。

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