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「ボス、大変です!」
「どうした?姫の居場所なら今、報告を受けたが」
姫の居場所に俺は眉間に皺を作っていると部下の一人が慌てて入ってきた。
そんなに慌てることがあったのだろうか、と首を傾げると部下は切羽詰まったように口を開いた。
「リボーン様が独自で姫様の居場所を見つけ出し、今そこに単身で乗り込まれたと…!」
「なっ…!!」
まさに、絶句。
あの冷静沈着のリボーンがボンゴレを省みず動いたことなんて一度もない。
ましてや、単身で自ら誰かを助けに行ったことも……
みんなも同じことを考えたのだろう。
みんな同じように目を見開いてその報告を聞いていた。
「本当なのか!?姫を浚った人間が…
一般人だとわかっててなのか!?」
はい、という部下の返事に俺は再び机を殴った。
今度は誰も何も言わない。
ーーー主犯はある一般人である。
そう骸の報告書には書いてあった。
俺らが以前薬を流していたファミリーを潰したことがある。
カモにしていたのはそのファミリーの統括していた地域の一般人。
よかれと思ってあのファミリーを潰したのだが…あの地域住民にとってはそうではなかったということなのだろうか。
その真意はわからないが、相手は一般人。マフィアではない。
一般人に危害を加えるなんて言語道断。掟にだって触れるし、俺たちの信念にも反する。
それくらいあのリボーンがわからないはずないのに……
ぎゅっと拳を握ると同時に今まで黙っていた雲雀さんがこの部屋から出ていこうとする。
「雲雀さん、一体どこに、」
「姫が監禁されてるとこだよ」
「待ってください、相手は「一般人だから下手に動くな、かい?」……っ!」
「それじゃ遅いよ。…事態はもうすでに戻れないところまで動いてる」
それくらい判断しなよ、と雲雀さんの冷たい視線が突き刺さる。
その言葉に俺は冷静になるために小さな息をつく。
ーーーそうだった。俺が冷静にならなくてどうするんだよ。
「雲と雨は現地に直行。あとは後援。俺も現地に向かう」
俺の指示に雲雀さんは満足そうに笑って、みんな一斉に返事を返す。
どんなことがあっても、全部受け止めてやろう。
ーーー例え、掟を破ろうとも。
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