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今回の件が一段落して、今、俺の前にはリボーンが無表情に立っている。
二人で話がしたかったから人払いをしていて、この執務室には俺たち二人しかいない。
「何故、単独行動をした?」
「………」
「リボーンらしくないよ、俺の指示前に一人でつっこむなんて」
いつもなら「俺の勝手だ」とか色々傍若無人な言い分を言ってくるくせに今回に限って何も言わない。
ただ、無言を貫き通すだけ。
こんなんじゃ埒があかない。
…やっぱり俺から核心をつくしかないのか。
「…姫が人質だったから?」
「……!」
「単刀直入に言う。姫のこと、好きなんでしょ?」
真っ直ぐリボーンを見つめてそう言い放てば、リボーンが初めて微かな動揺を見せた。
…まぁそれが答えみたいなもんだけど。
何もそれ以上は言わず、リボーンの言葉を待っているとずっと無表情に視線をずらしていたリボーンが初めて俺と目を合わせた。
その目には強い意志と激しい感情がこもっている。
「…好きだ」
「……」
「誰よりも愛してる。…だが、」
この気持ちを姫に伝える気はない。
「…なんで?」
「アイツが…姫が自分の気持ちを間違えないように」
「それってどういう、」
「ちゃんと自分の気持ちに正直になれ、ダメツナ」
「はっ!?いつの間に俺の話になってんの!?」
意味わかんねぇ!と言うとだからダメツナなんだ、ともっと意味のわからない言葉。
もう話は終わりだとばかりにリボーンはニッと不敵な笑みを浮かべてこの部屋から出ていった。
…あぁもう、本当に意味がわからない。
けど、
「…わかってるよ、自分の気持ちくらい、一番」
そんな小さな呟きは誰もいない部屋に溶け込んでいった。
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