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他愛のないことを話しながらお茶を飲んでいるとこんこん、と控えめなノックが聞こえてくる。
今日はお客様が多い、なんて思いながらドアまでいって開けると、
「よっ!」
「武」
にかっと爽やかな笑みを浮かべた武が立っていた。
もちろん中にいた綱吉にも聞こえていたらしく、お疲れ山本、と声をかけると武はびっくりしたように部屋をみやる。
ここからだとソファーに座った後ろ姿しか見えないが、あの綺麗なハニーブラウンの髪をした人は綱吉以外いないので武は楽しそうに笑った。
「ツナもいたのな!」
「差し入れを持ってきてくださって…武もお時間があればお茶を飲まれていかれますか?」
「いいのか?」
「もちろんです」
そうにっこり笑うとじゃあ飲んでいくか!と眩しいくらいの笑顔を浮かべられる。
ソファーに促して紅茶を淹れなおし、ケーキをお皿に乗せて持っていく。
綱吉はもうすでにケーキを食べ終わっていて、ゆっくり紅茶を飲んでいたから新しい紅茶を綱吉のカップにも注いでおいた。
ありがと、と言ってくれた綱吉に小さく笑い返すと武がこちらをじっと見ていたが何も言わなかった。
「珍しいですね、武が私のお部屋にいらっしゃるなんて…」
「あぁ、見舞いにきたんだけど…元気みたいだな!よかったぜ」
「ありがとうございます」
「でもいつの間に姫とツナはそんなに仲良くなったんだよ!本当ラブラブなのなー」
「えっ…!?」
「ぶっ…!!」
かぁっと顔が熱くなって、赤くなっていくのがわかる。
そんなラブラブ、だなんて……そんな風に見えたの!?
しかも綱吉もびっくりしたのか飲んでいた紅茶を噴き出して苦しそうに咳をしている。
大丈夫ですか、と苦しそうにしている綱吉にタオルを渡すと武はからからと楽しそうに笑った。
「ははっ!そんなに動揺することないだろー」
「山本、ちょっと黙って」
それでも笑い続ける山本は「珍しいもの見れたのな」と満足そうに言ってケーキを一口で食べきったのだった。
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