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同盟ファミリー同士の会合があるということを聞いたのはついこの間。
普段なら私は行かなくていいのだが、今回はパーティーに出席できなかったファミリーとの会合だったので呼ばれたのだ。
友好関係のあるファミリーだから緊張しなくていい、と言われたもののやはり緊張するものは緊張する。

いつもより念入りに化粧をして、ドレスチックなワンピースを着ると綱吉の執務室に向かった。
ノックをして入ると白いスーツを着た綱吉が出迎えてくれる。




「じゃあ行こうか」

「はい」




軽くエスコートされながら会合のあるお部屋へと向かう。
つくと同時に扉が開かれ、中にいるファミリーの皆さんが見えて軽くお辞儀してから入った。
隣にいる綱吉は穏やかながらどこか威厳のある笑みを浮かべて皆さんを見渡した。




「こんにちは。お久しぶりですね」

「やぁ、ドン・ボンゴレ!久しぶりに会えて嬉しいよ」




元気だったか、というお決まりの言葉を聞きながら挨拶回りが始まる。
立食式のパーティーだからか他ファミリーもお互いに交友を深めるため、それぞれ言葉を交わしていた。

その様子を見つつ、私は笑顔を忘れないようにしながら時々話の相槌を打ったりして綱吉の隣にいる。
それではまた、とそれから何回か言葉を交わした後言うと次の方へ。




「疲れない?」

「大丈夫ですよ。まだ始まったばかりですし」

「疲れたら抜けても大丈夫だから」

「…ありがとうございます」




小さくだったけど優しげな笑みを向けられたからちょっと恥ずかしくて視線を反らした。
…何だかあの事件以来綱吉の視線が優しくて、真っ直ぐ見つめることができなくなってきた気がする。


―――それから全員と挨拶を交わすことができ、ただの昼食会へと変化する。

綱吉は今仲のいいファミリーのボスと談笑していて、とても楽しそうだ。
飲み物が空いていたので綱吉の分も一緒に持ってくる、と小声で伝えて少しだけその場を離れる。

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