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慣れていないとはいえ、パーティーというのは予想以上に肩に力が入ってしまうようだ。
飲み物をもらってくると言ってこの場を離れた姫の後ろ姿を見つめてそう思う。
オルマーノにいた頃はパーティーを好まないためあまり出なかったと聞いていた。
だからこの華やかな空気に緊張して、姫はさっきから愛想笑いしかしていない。
…その愛想笑いも完璧だから困る部分があるんだけどさ。
「中々溺愛しているね、綱吉」
「…わかりますか?」
姫から視線を戻して目の前で穏やかに微笑んでいるボスに向ける。
わかるさ、と笑みを深めた彼はキャバッローネファミリーと同じくらい信頼できるファミリーのボス。
俺なんかより器が大きくて、この人の寛大さに何度助けられたか。
そんな彼は飲み物をもらっている姫を見やって、いい子だね、と微笑む。
「礼儀正しいし、ジャポネーゼらしい奥ゆかしさもある。綱吉には勿体ないくらいだ」
「…えぇ、本当に」
「私があと30歳若かったら口説いていたところだよ」
「やめてください」
あなたが相手じゃ敵わない。
そう言うと彼は珍しく、おや、という顔をして俺の顔を見返した。
「随分弱気だな、ドン・ボンゴレとあろう人が」
恐らく今までの俺のことを暗に言っているのだろう。
姫と結婚するまでは毎日のように女を取っ替えていたから。
ある時は複数の女を一度に相手したことだってある。
…あの頃は落とせない女なんて一人もいないと思ってた。
小さく苦笑混じりで、
「姫だけにですよ」
と言うと、彼は楽しそうに笑った。
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