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“気持ちを伝える”
簡単に言うけれどそれは並大抵のことじゃなくて。
根本的に解決してない、と小さく溜め息。
しかもフラれてしまったら私達の結婚生活は一生氷河期。
「愛せないって言ったはずだけど?」と返されてしまうのは目に見えている。
…やっぱり気持ちを伝えるなんて無謀としか思えない!
「…無理よー…」
「何が?」
「それは、…って綱吉!?」
机に突っ伏していた私は突然聞こえた綱吉の声に思わずがばり、と体を起こす。
「ごめん、何回かノックしたけど返事なかったから」と苦笑しながら入ってきた綱吉に「何してるの、私!」と頭を抱えたくなった。
綱吉のことで悩みすぎてお声が聞こえなかっただなんて口が割けても絶対に言えない。
そして勝手に悩んでいるのは私の方なのにご迷惑かけるだなんて…本末転倒もいいところだ。
「ごめんなさい、気づかなくて…」
「何か盛大に悩んでたけどどうしたの?」
「い、いえ、詰まらないことですので!」
「…?まぁ無理には聞かないけどさ」
これ書類、とオルマーノ関係の書類を手渡される。
少し厚い束になっているがすぐに片付くだろう。
ありがとうございます、と言って受け取ると軽く目を通す。
ペラペラと紙を捲っていると私宛でない書類が一枚。
宛先が山本武と書いてあることからどうやらボンゴレのも混じっていたらしい。
すでにソファーに座って寛いでいる綱吉にとりあえず紅茶をお出しして書類を手に立ち上がる。
何時もなら一緒にお茶をするのだが…この書類が急ぎのものならまずいだろうし、早く届けた方がいいと思ったからだ。
「…?姫、どこ行くの?」
「武のところに。書類が混ざっていたようなので…」
「げ、間違えてた?ごめん、確認してから持ってきたつもりだったけど…」
「すぐにお届けすれば大丈夫だと思います。少しお部屋をあけますが、気になさらないでください」
にこり、と笑ってから出ようとしたが「オレが持っていくよ」と綱吉に書類を取り上げられる。
ですが、と言い淀んだが代わりにお菓子用意しといて、と言ってドアに向かわれたので再び笑みが零れる。
…本当に優しい方……
「では、ケーキを焼いて後でお部屋に伺いますね」
「うん、楽しみにしてる」
―――あぁ、もう、そんな笑顔を向けないで。
これ以上好きにさせないで。
でも…そんな言葉とは裏腹にどんどん加速する想い。
本当に…いつか私は綱吉に気持ちを伝えてしまいそう……
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