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「全く…」
これで少しは前に進むかな?
自室に戻って庭園を眺めながらあの二人のことを考える。
僕から見ればあの二人、恐らく両想いだろう。
姫は完全にそうだと本人から聞いたが、沢田の行動を見ていれば彼の気持ちも同じなのだろうとわかる。
一体何を躊躇することがあるのか…僕には全くわからないね。
一応、姫に想い人がいること。
そしてそれが“未だに政略結婚だと勘違いしていて”悩んでいることを遠回しに伝えておいた。
…この僕がここまでしたんだから、さっさと前に進むでしょ。
赤ん坊の時といい、どうしてこうも行動力がないのか、あの子は。
―――そして、何で僕はあの子のためにここまでしてあげてるんだろう?
お茶を点てるのが上手いから?
あぁ、姫の作るお菓子も中々美味しいね。
…不器用なところがほっとけないから?
悩んだり、笑ったり、ころころ変わる表情に、ほだされたから?
「…いや」
ふ、と思い当たった理由に小さく笑ってしまう。
結局のところ、あの子が好きだからだろう。
もちろん、この感情は小動物に向ける感情によく似てる。
もし妹がいたなら、きっとこんな感じなんだろう。
生ぬるさを感じなくないけど、…嫌いじゃない。
「僕も変わったな…」
あの子がボンゴレに来てから、僕も綱吉も…そしてあの赤ん坊も大きく変わった。
恐らく他の守護者もどこか変わったところを察知しているのではないかと思う。
それくらい、姫がもたらす影響は大きい。
全く…すごいお姫様だよ。
(だからこそ、幸せになってほしいんだ)
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