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―――あぁ、なんだ、そうか。


何でそう考え及ばなかったんだろう。

リボーンが前に姫を苦しそうに呼んだのも、姫が恩師であるはずのリボーンにあまり話しかけないのも、全部…そういう関係だから。
気づかなかった自分に思わず自嘲が浮かび、抱き締め合っている二人を俺はただ見つめることしかできない。

ここからだと二人の会話は聞こえないからどんな話をしているのか聞こえないけど、…姫がオレが見たことないような優しい笑みを浮かべているのだから聞こえなくても内容がよかったのかもしれない。




「…好き、だ」




好きなのに…っ
何でオレじゃだめなんだろう……
…もし、政略結婚じゃなかったらオレを好きになってくれてた?
―――なんて、叶わない考え。

漏れた言葉も今はもう届かない。




「沢田、そんなとこで何して…」

「…雲雀さんが言ってたことってこういうことだったんですね」

「………」




後ろから現れた雲雀さんは姫とリボーンを見て、小さく眉をひそめた。
そしてちらり、とオレの方を見やって何故か不機嫌になっていく。




「今無性に君を咬み殺してやりたい気分だ」

「何でオレなんですか」

「うるさいよ」




その情けない顔どうにかしなよ。

そう言われて、わざとそんな顔してません、と言い返す。
…もう、姫の気持ちがわかったんだから悲しくないし…逆にすっきりしたくらいだ。

悲しくない。…ただ、少しだけ……胸が痛い、だけ。




「…君も姫も…バカだね」

「酷い言われ方ですね」




漏れた笑いはどこまでも冷たくて。

全てが、色を無くした気がした。

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