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「綱吉!綱吉っ!」
一口食べた途端に綱吉が意識を失った。
咄嗟に支えたけど、綱吉の体は大きくて支えることができず、倒れそうになると恭弥が支えてくれる。
ありがとう、と伝えて綱吉の様子を見るがかなり顔色が悪い。
美味しすぎて倒れる方がこんなに出るとは思わなかった……
綱吉、ともう一度呟いてそっとその腕に触れると、
「…一旦お開きだ。ツナ達を部屋に運ぶぞ。雲雀、頼めるか?」
「………全く…軟弱だね」
「やれやれ…これらは医療班でも呼びますよ」
六道様は呆れたように言いながら携帯を取りだし、恭弥は綱吉の体を持ち上げる。
私も慌ててそれを手伝うと恭弥と一緒に綱吉の部屋に運ぶことになった。
医療班の方々はすぐに来てくださって、他の方々を医務室に連れていく。
ぐったりする綱吉にもしかして毒が入っていたのではないかと不安になってきた。
その不安が恭弥に伝わったのか恭弥は「大丈夫だよ」と小さく苦笑する。
「死にやしないよ、これくらいじゃ。寝ればすぐよくなる」
「…はい」
「君って案外心配性だね」
「ふふ…そうかもしれません」
マフィアだから命の危険は常に付きまとう。
だからと言って心配せずにはいられないんだ。
そう会話しているうちに綱吉の私室の前にたどり着き、ドアノブに手をかける。
ーーーけど、それ以上動くことができなかった。
「…どうしたの?」
「あ……私……」
「早く開けて。重い」
「は、はい…」
まるで、パンドラの箱を開けるような気分だった。
ーーー綱吉の私室。
それは、結婚前に交わした約束の一つ。
『私室には入らない』
それを破る、瞬間だった。
綱吉は気を失っている。
…ベッドに運ぶだけなら、許してくださるかな…?
ドアをゆっくり開けて、綱吉をもう一度支え直すと無意識のうちに鼓動が早くなった。
…罪悪感、だろうか。イケナイことをしている、罪悪感。
まるで自分を守るための悪い嘘をついているときのようだった。
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