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久々のデートなので頑張っておしゃれをすると「かわいい」と誉められて少し気恥ずかしく思いながらも嬉しくて小さくはにかむ。
腕を組んで歩いていると気さくに声をかける町の人たち。
綱吉…いえ、ボンゴレがどれだけこの町を愛しているかすごく伝わってくる。
楽しそうに話す綱吉を見て、私も思わず笑顔になっているとお花屋さんの旦那さんがヒューっと口笛。
「さすが新婚!アツアツだねぇ!」
「さすがにそれは古いと思うよ」
「お、ボスが照れてる!」
「うるさいよ、見せつけてやろうか?」
「つ、綱吉!?」
ぐいっと腰を引き寄せられたかと思うと私の頬に手を添えられる。
…キス、されるみたいに。
恥ずかしくて、思わず顔を赤くすると「ごめん、冗談だよ」と優しく笑って頭を撫でてくれる。
……じょ、冗談か…ちょっと残念のような…って何考えてるのよ私は!
違う違う、と頭を振ってその考えを打ち消す。
「(あーもー何この可愛い生物可愛すぎるんだけど!心の声駄々漏れだし本当にキスすればよかったー)」
「つ、綱吉、あそこを見に行きましょう!」
誤魔化すように指差すと綱吉は笑ってそちらに歩き出す。
あぁもう絶対顔赤い、なんて思いながらお店に入ると品のいい装飾品が目に入る。
父様にネックレスなんて若すぎるかな、と思いながらブローチやピアスを見ていく。
どれもおしゃれだが、お父様には似合わないように思った。
「うーん…」
「どれもイマイチ?」
「いえ…おしゃれですが、父には似合わない気がするんです」
「なるほどね。確かにちょっと若者向けだし」
二人で見ていくとお店の奥に少しだけあったーーーネクタイピン。
小さな宝石をあしらった上品なそれはどこかお父様を思い出させるところがあって、すごく似合っているように思う。
これ、と小さく呟くと綱吉の視線もそちらに向く。
「…いいね、それ」
「はい。…私これにしますね」
すいません、とお店の人を呼んでそれを包んでもらう。
…お父様、喜んでくださるかな…?
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