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任務当日……
綱吉が選んでくれたドレス(前回とはまた違うドレス。パーティーのたびにどんどん増えていってる気がする…)に身を包み、緩やかに微笑む。
綺麗だよ、という綱吉の言葉にまだ慣れなくて、どきどきしながら、パーティー会場へと入っていく。
キラキラと輝くパーティー会場で私と綱吉はいつものように知り合いに挨拶しながら周りに気を配る。
この前は任務どころではなくなってしまったから任務を行うことができなかったが、今日こそ成功させなければならない。
綱吉が相手と話しているその話を横で微笑みながら頷きつつ、端で動いたボーイを目でとらえる。
…あのボーイ、フランスの貴族を裏に連れて行った。
綱吉の腕にそっと触れて、見えないように指で三回トントントンと叩く。
綱吉は私の手に手を重ねて「では、また今度」と挨拶し、その場を離れた。
「動いた?」
「えぇ、こっちです」
お互い笑顔を弛めることなく、案内していたボーイの方に移動する。
調査では、合言葉を言えばいいと言っていた。
そう、最初にかける言葉が、
「そこのあなた、フルーツはどこかしら?」
「…どのようなフルーツをご所望でしょうか」
ふわり、と極上に笑いかける。
「あまーいものが、食べたいわ」
「…こちらでございます」
にこり、と笑ったボーイが奥へと誘ってくれる。
潜入は成功。そっと綱吉を見上げるとそこにはもう真剣な顔の綱吉がいて、こくり、と頷く。
…六道さまにティナレスさんに気を付けろ、と言われたが、拍子が抜けるほど出会わない。
でも、その方がいい。…こんなところでは、会いたくない。
だって、もし会ってしまったら…それは、粛清の対象ということなのだから。
そんなことを考えていると裏取引の会場に到着し、ボーイは音もなくいなくなる。
目の前には、赤いカーテン。綱吉が私に準備はいいか目で聞いてきたので、静かに頷いた。
そして、綱吉がそっとカーテンを開ければ…目に入ってきたのはたくさんの麻薬吸引者たち。
たくさんのソファに寝そべる人。…貴族、政治家、芸能人……
もやっとする空気に気分が悪くなりそうだった。
綱吉、と無意識のうちに彼の名前を呼んでいた。
…こんなに、広がっているなんて、思わなかったから……
「これは、ドン・ボンゴレ。…おぉ、奥方も来られていたのですね。さぁさ、こちらに」
「…いや、その必要はない」
――――パンッ!!!
一つの銃声に、沸き上がる悲鳴。
…目の前には、血を流して倒れこむ、このパーティーの主催者。
混乱が生まれる中、私はドレスの裾を破り、銃をセットする。
その隣で、綱吉が無言で撃った銃を捨てて、グローブをはめた。
…始まる。このファミリーの壊滅が……
「ボンゴレファミリーだ。市民への麻薬密売の罪で…お前たちを壊滅させる」
「…一般人を殺すつもりはありません。一般人は今すぐ逃げて…って、もう、いないよね」
「あいつらを殺せえええ!!」
降り注ぐ銃弾を綱吉が全て焼き払ってくれる。
その間に私は周りに来ていた敵を撃ち殺していった。
…私もマフィアの娘。悲しいことに、銃の使い方は慣れている。
でも、綱吉の背中を守れるほど、強いわけじゃない。
きっと、マフィア界で最強と謳われる綱吉にとって私は足手まといのはず。
綱吉が戦っていることが外に伝わったのか、味方も大勢入ってきたので、作戦通り戦場から少しずつ離れていく。
「姫!」
「リボーン…!」
「怪我はねぇな。このまままっすぐ進んで前線から離脱しろ。いいな?」
「うん、わかってる。リボーン、綱吉のこと…よろしくね」
「大丈夫だ。あいつは簡単に負けねぇよ」
頼もしい笑みを浮かべてぽんぽんと頭を撫でると、リボーンは戦場の真っ只中に向かっていく。
その背中に安心しながら、私も気を引き締めて外に向かう。
あと少しで出られる、というところで聞こえてきた声に私は思わず足を止めていた。
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