上陸!
上陸するとプカプカと浮かぶそのシャボン玉にみんなが目を光らせる。
あるクルーはそのシャボン玉に登って遊んだり、あるクルーはシャボン玉に触れてわざと割ってみたり。
すげー!面白ぇー!などなど声が上がる中、何故か姫だけ難しい顔をしていた。
あの無邪気な姫が一番はしゃぎそうなのに、とクルーみんな思ったが、そんな素振りを少しも見せない姫に更にみんな首を捻った。
「見て見て姫ー!すごく楽しいよー!」
「う、うん!でも…あぁもうやだー!!」
「ど、どうしたの姫!?」
「ベタベタ気持ち悪いー!!シャボン液が私の体と混ざろうとするの!」
もう何なのー!!と絶叫する姫。
どういう意味か、と一瞬考えたがローが姫の腕に手を滑らせた瞬間、微かだが泡立ってようやく納得した。
ミズミズの水人間となった姫は自らの体も水に変化できる。
普段の戦闘であまり見せることはないが、どうやら周りで発生しているシャボン液が水である姫にくっついて混ざろうとしているらしい。
多少混ざれば勿論姫自身もぬるぬるしてくる。
それが不快らしくシャボンに近づけないようだった。
そうとわかればただの爆笑。
何だよそれ!シャボンの能力者にもなれるな!などなど…安心半分馬鹿にしているの半分で笑い出す。
「笑い事じゃないー!本当に気持ち悪いんだからね!?」
「…姫、着替えてこい」
「え、何で?」
「肌が露出してるからそこからシャボンが混じる。できるだけ肌が隠れる格好にしてこい」
「さすがロー!ちょっと着替えてくる!」
名案だとばかりに笑うと姫は早速中に戻って薄いカーディガンを羽織って外にもう一度出てみる。
先程まで感じていたぬるぬるとした不快感はかなり軽減されて我慢できるまでになった。
こうなればこっちのもの。
姫はようやく自由に動ける、とばかりに満面の笑顔を浮かべると一気に走り出した。
「すごいすごい!シャボン玉乗れる!見てベポー!」
「すごい!オレも乗るぞー!」
アイーと叫びながら俊敏な動きで飛び乗ったがシャボン玉は割れることはなかった。
シロクマであるベポの体重はかなり重たいはずなのに、だ。
その神秘さに一通りはしゃいだ後、姫とベポはロー達と一緒にシャボンディ諸島内に入っていったのだった。
上陸!
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