君だけが唯一の弱点
ーーー21番GR。
少し空気がピリピリするのを感じて姫はぴたり、と足を止めた。
水人間である姫は空気中の水を伝って色々なものを感じとることができる。
今回感じ取ったのは喧嘩が起こる前のもの。
しかも普段感じる小者同士の喧嘩じゃなく、大物同士だ。
それに気づいたローは姫、と彼女の名前を呼ぶ。
「どうした」
「喧嘩が起こるよ、しかもかなり大きな」
「へェ…ふふ、見物していくとするか」
近くにあった空箱にローは腰掛けると鋭く辺りを見渡す。
そうすれば擦れ違う二人の億超えルーキー。
しかし、その二人は同時に足を止めると突然お互いの得物同士がぶつかり合った。
その二人とは、
“怪僧”ウルージ
“
“殺戮武人”キラー
どちらも1億を超えるかなりの大物だ。
ざわつき始めた一帯だったが、誰も止めることができない。
…いや、止められる人間が二人ほどいるのだが、一人は自分からあまり騒ぎに入っていくことを好んでおらず、もう一人は喧嘩を楽しんでおり、そんな楽しいことを止めるはずがなかった。
辺りが破壊されていっていると一人の男がその間を割って入る。
“赤旗”
X・ドレーク
「暴れたきゃ、新世界へ!」
「ねえロー」
「何だ」
「みんな体大きくない?ローひょろひょ」
「バラす」
「ごめんなさい」
素直に謝ればドレークが二人の前を通っていく。
今いいとこだったのに…とローが呟けばドレークの足は止まり、視線がローに向かった。
何人殺したか、という問いにドレークは何も答えず彼は再び歩き出す。
「…趣味悪いよロー」
「フフ、誉め言葉だな」
「あ!姫、シャボンディパーク行かない!?」
「ナイスベポ!オレも行きたかったんだ!
行きましょうよ、キャプテン!」
「…んなとこ行くわけ「行く!絶対行く!ロー行こうよー!」…仕方ねぇな」
やった!と喜ぶ3人…いや2人と一匹を見ながらペンギンはわからないように笑いをかみ殺した。
何だかんだ言って船長は姫に甘すぎる、と。
早く行こう、と急かす三人に引きずられるようにローは腰をあげたのだった。
君だけが唯一の弱点
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