そして始まる伝説の序章
「シャンプー?」
「シャボンディだ。シャボンディ諸島」
「シャボン玉諸島!」
「……あぁ、もうそれでいい」
概ね合ってる、とペンギンは諦めたように妥協した。
ーーーあれからまた数年……
ローのドSっぷりにも磨きがかかってきた頃、それに比例してローの懸賞金もあがり、今では2億の賞金首になった。
世間ではローを“超新星の一人”と呼び、残虐だと恐れている。
けど、呼ばれている本人とその仲間達はそんなこと全く気にしておらず、相変わらずの陽気っぷりだ。
そしてもう一つ。
「いいか、今シャボンディ諸島には億ごえが集結してる。…お前も例外じゃない」
「はーい」
一億ベリー。
それがここ数年でついた姫の懸賞金だ。
ローと一緒にいることが多い姫はそれと同時に絡まれることも多かった。
不可抗力的に戦っていたらこの懸賞金が付けられてしまったのだ。
…姫はいつも不服そうだが。
「気を付けろよ、キャプテンと違って自分から飛び込んでいかないと思うがお前は何て言ったってトラブルを引き寄せやすいんだからな」
「酷い!そんなことないですー!」
「とにかく目立つな。いいな?」
「わかったよう、もう」
ちぇーっと口を尖らせた姫にペンギンは少しだけ笑ったが、とにかく気を付けろよ、と言って姫の頭を撫でた。
もうすぐシャボンディ諸島につくハートの海賊団達。
ペンギンは姫は多分ローと行動するだろうから大丈夫だと思ってはいるが念には念をと考えていた。
シャボンディ諸島と言えば新世界前の有名な島。
レッドラインを越えるため、どんな海賊も一度は寄港する。
その寄港する海賊が、まさか有名な億ごえばかりになるとは。
ナイスタイミングなのかバットタイミングなのか。
「姫」
「あ、ロー!」
「ペンギンから聞いたか?」
「うん、気を付けろって」
「…何で気を付けないといけないのかは聞いたのか」
「………………あれ?」
「ペンギン、一番肝心なとこを教えてねぇじゃねぇか」
すまない、と謝るペンギンに笑って誤魔化す姫。
そんな二人にローはため息をつくとまぁいい、と持っていた刀をトンっと肩に乗せた。
「オレの側を離れるんじゃねぇぞ、姫」
「あいあい、キャプテン!」
島が見えたぞー!という言葉と共に潜水艦は水上へと上がる。
そしてみんなが甲板にのぼって、その幻想的な姿が見えると一斉に歓声があがった。
ロー達も甲板に行き、その姿を見ると姫は「うわぁ…!」と嬉しそうな声が出る。
その隣でローはにやり、と笑みを浮かべながらシャボンディ諸島を見つめた。
「野郎共、上陸準備だ!」
『アイアイ、キャプテン!』
そして始まる伝説の序章
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