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他愛のない話をしながら店へと向かう。
途中のロスがあったからか約束の時間に遅れてしまっているが仕方ないだろう。
目的地につくとオレと姫以外は全員来ていたようで「待ってましたよー」という言葉を軽くあしらう。
「あれ、トラファルガー先生と一緒に来たんですか?」
「えぇっと…」
「たまたま途中で会っただけだ」
何気ない疑問だったんだろう。
首を傾げた幹事の言葉に姫はどう説明したらよいかと考えあぐねていたからとっさにオレが答える。
あぁ成る程、とみんな納得したようだったのでオレは適当な席に座って姫から離れた。
姫は主役だから、と上座の方に座らされてオレとはかなり遠い。
ビールはすでに頼まれていたようですぐに店員が持ってきた。
それを受けとると立場上今は一番上になる医局長が口上を述べて乾杯する。
それぞれ乾杯に回っているのを見ながらジョッキを傾けて全て飲み干す。
それに気づいた幹事が「トラファルガー先生飲みっぷりがいいですねー!」と笑った。
ペンギンもシャチも来ていたようでオレのことを囃し立てるから質が悪い。
他にはバレねぇようにペンギンとシャチを睨めば「「すいませんでした」」と同時に頭を下げた。
フン、と鼻で笑えば「素敵ですー!」と寄ってくるナース達。
…だから飲み会は面倒なんだ。
うざいくらい女が寄ってくる。
普段なら適当に相手してやるが今日は姫がいてそんな気分でもない。
軽くあしらっていれば向けられる他の男の医者達の嫉妬のような瞳。
…あぁ、それも面倒くさい。
だから飲み会なんて来るもんじゃねぇ。
「姫先生は以前どこで医師を?」
「アメリカです。だから医師免許とり直さないといけなかったので大変でした」
「そうだったんですか!」
すごいなぁ、と感心された姫は照れたように小さく笑い返す。
それを横目に見ながら飲んでいるとペンギンが隣に座ったからちらり、と目を向けた。
「姫、記憶がないみたいですね」
「…あぁ」
「何も言わないんですか?」
「………」
ペンギンの問いにオレは自然と姫に目を向けていた。
隣に座った男がよく喋るようで時折笑いながら相づちをうっている。
楽しそうに…あの華やかな笑みを浮かべて。
…別に今の姫に昔のことを言うつもりはない。
覚えていないのに「オレとお前は幼なじみだ」と言ってもピンとこないし、下手したら気持ち悪い奴でしかないからだ。
逆に……
「好都合かもな」
「何がだ?」
「幼なじみという壁がなくなって、だ」
あの頃は幼なじみという心地のいい関係を壊すのが怖くて、伝えられなかった自分の思い。
…思えばオレは幼すぎたのかもしれない。
今なら姫と新しい関係が作れる。…そんな気がした。
君との思い出を捨てた日
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