見つけた白熊くん



先ほどの話し合いで決まったことを報告しようと廊下を歩いていると姫!と呼び止められる。
そのお色気たっぷりの声に姫はすぐに立ち止まり、振り向いてからその人の名前を呼んだ。




「ハンコック先生」

「(あぁ今日も可愛らしいな姫…)どうしたのじゃ?そのように書類を抱えて…」

「体育祭の報告に行こうと思いまして。先生は今から授業に?」

「そんなところじゃ。最近わらわも忙しくてな…」

「それは…お疲れさまです、先生」

「(そ、そのような愛くるしい瞳で見つめられてはっ…!)わ、わらわはこっちじゃ。また後でな、姫」

「はい、先生」




ハンコック先生と別れると姫は職員室に向かって歩きだす。
そこにいるシャンクス先生に資料を渡し、姫はすぐに教室に帰ろうとした、が。

白いもこもこの塊が中庭に見えて小さく首を傾げ、そちらに行き先を変える。




「…あ、」

「ベポくん…?」

「姫、さん…!」




やはり、というべきか見覚えのある白熊、基ローの友達であるベポだった。
姫と目が合うとどこか慌てるような仕草をしたが、次第に落ち着き、しょぼん、としはじめる。

そんな可愛らしいベポに姫はくすり、と微笑むと草むらにしゃがんでいるベポに手を差し伸べた。




「迷子、なんだよね?」

「うっ…うん…」

「もうすぐ授業が始まってしまうから…こっちに来て」




見つかったら先生に怒られるから、と促すとベポは姫の手をとって姫と一緒に歩きだす。
姫の方が当然背が小さいので身長の高いベポの手を引いて歩く姿はなんだか不思議な光景でもあった。
どこに行くのだろう?と首を傾げていれば、次第にその行き着く先がわかってしまい、ベポは慌てて姫を止める。




「も、もしかして今から行く場所って…!」

「…?私の部屋だけど…」

「だっ、駄目!駄目だよ!」

「どうして?」

「そ、それは…」




まさかキャプテン、つまりローに何言われるかわからない、と言えるはずなく、ベポは困ったように口籠もる。
もちろん、姫がそんなことを察することができるわけないのでよくわからない、とばかりに不思議そうな顔をした。

ベポはどう言い訳しよう、と頭を悩ませていれば、姫が何かに気づいたように慌て出し、こっち!と少し強引に手を引いて、ベポの考え虚しくベポは姫の部屋に入ってしまった。

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