おはよう



「おはよ、姫!」

「おはよう、エース」




少し早めに来た姫にニカッと笑いながらエースが挨拶すれば姫もいつも通り笑って挨拶する。

近くにテニスラケットの入ったバッグが置いてあるところからしてみると今日はどうやら朝練があったらしい。
朝練お疲れ、と言うと姫は楽しげに今日の朝練の話をし始める。最近調子がよく、今度の大会頑張れそう、など。

そう話しているとルフィがエースの後ろからひょこっと顔を出してニシシ、と笑うと、




「大会には絶対応援行くからな!」

「お、ならオレも見に行きてぇな!」

「あら、あんたたち姫の試合なんて見に行ったら大変よ?」

「…?何でだ?」




姫の隣の席、つまりエースの席にナミは足を組んで座るとニッと笑う。
そんなナミの言葉にエースは首を傾げると後ろに座っていたロビンが本から少し目を離してふふ、と綺麗な笑みを浮かべた。




「本校ももちろん他校からも姫のファンクラブの人たちが押し掛けて毎回テニスコートの周りは人でいっぱいなのよ」

「ざっとみて…300人はいるわね」

「「300人!?」」

「そんなに来てたっけ…?」




その数の多さにエースとルフィは驚き、姫はぴんとこないのか首を傾げていた。
みんな姫の優勝する姿が見たいのよ、なんてロビンが言うから姫は照れながらも嬉しい、なんて零す。

その姿にナミにエースやルフィは可愛いなぁ、と、エースに至ってはぐしゃぐしゃっと姫の頭を撫でていた。

…その姿にナミが「調子に乗るな!」と手を叩き落としていたが。
その漫才のようなやりとりに笑いが起きているとガラリ、とドアが開いてローとペンギンが教室に入ってきた。

そのことに姫が気づくと、




「おはよう、トラファルガーくん、ペンギンくん」

「……はよ」

「…!おはよう、姫」




にっこりと笑ってそう二人に挨拶していた。

驚いたのは周りにいた人達。
当たり前だ。今まで姫が二人に挨拶しているところなんて見たことなかったから。

ローはちらり、と姫を見て短く返し、ペンギンは驚きながらもおはよう、と返していた。
そのことに姫は再び笑うとナミが慌てて姫!?と肩を掴む。




「どうしてあの二人に挨拶したの!?」

「え…?同じクラスだから挨拶を、と…」

「そうじゃなくてっ!今まで挨拶してなかったのにどうしていきなり…!」

「あ…えっと…トラファルガーくんはいい人ってわかった、から…かな」

「いい人って…」




そんなわけないでしょ、という言葉はさすがに飲み込んだ。

人を疑わないのは姫のいいところでもあり悪いところ。それは自分がよくわかっていたことだ。
姫は今、ローのことを自分の視点で見ていい人だと判断した。…なら、自分が否定するわけにはいかない、と。
ナミは苦笑しながらため息をついて姫らしいわね、と完結させた。

…エースは少し、いやかなり面白くなかったようだが。

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