カヨウ



それから若君は私が若君と呼ぶたびにリクオと呼べと言うようになった。
でも、私は極力呼ばないように気をつけた。…時には誤魔化して。



「そういえば、姫って何歳なの?」

「わたし、ですか…?…11才です」

「え!?小学校行かなくていいの!?」

「…?小学校とは、何ですか?」

「みんなで勉強したりするところだよ」

「勉強…ですか」



算術と読み書きは母から教えてもらっていたからできる。
でもそれ以上に勉強するところなのだろう。
すごい、とは思うが私には必要ないように思う。
だから、若君が勉強の他にも友達と遊んだり、と楽しそうにお話するから、素直に笑っていた。


「楽しそうですね」

「うん!そうだ、じいちゃんに頼んで姫も学校に行こうよ!」

「え、いえ、私は、」


望んでいない、という暇もなく若君は私の手をひいてお祖父様のところに行く。
若君が姫も学校に行っていいよね、とキラキラした目で言うとお祖父様は案の定おう!いいぞ!と快諾。
ここまでくると行かなくてもいい、とは言いづらくて、結局明日から学校に行くことになった。…けど、



「え!?どうして一緒のクラスじゃないの!?」

「…私は若君より3つ歳上なので…」

「でも、」

「若君、行きと帰りはお迎えにあがりますから…」


ね、と宥めると若君は渋々諦めてくれた。
行きと帰りは絶対に一緒という約束をして。

だから知らなかったのだ。
私と別れた後、こんな話をしていたなんて。



「ねえ、つらら」

「はい、若」

「姫に近づく男は抹殺、ね?」

「はい!もちろんでございます!」

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