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「大丈夫?美瑠ちゃん」

「…うん、全然っ大丈夫!」

「さっき、すごく叫んでたもんね」

「…!き、聞いてたの!?」

「う……うん、ごめん、ここに来る途中で…」



聞こえちゃって、と気まずそうに視線を明後日に飛ばすツナに羞恥心が掻き立てられる。

は、恥ずかしい…!まさか、聞かれているなんて……っ
あぁでもあんなに叫んでたら聞こえちゃうよね…!



「…美瑠ちゃん、本当に…その、大丈夫?」

「え?うん、大丈夫だよ」

「でも―――…泣きそうだよ…?」

「え……」



ぽろり、と何かが頬を伝い、慌てて頬に手を添えればなま暖かいものが手を濡らした。

これって…涙……あぁもうさっき大丈夫って言ったばかりなのに。


(本当は、全然大丈夫なんかじゃなかった)


くしゃり、と顔を歪んだのがわかったからツナに見られたくなくて体育座りして膝に顔を埋める。

今考えただけでも胸が痛くて痛くて仕方なかった。

それ以上に…不安だった。恭弥のことを信じてなかったわけじゃない。
でも…一年も隣にいなかった。電話やメールしていたけど、他に彼女ができたかもしれない。
それがただ…イタリアと日本という距離があるせいでわからないだけで。
帰ってきて、恭弥にごめん、って。他に彼女ができたんだって、言われてしまうんじゃないかって。

本当は……恐かった。違うって、そう否定していても…不安はぬぐえなくて。

…それが、信じてなかったって、ことなのかもしれないけど……


……私って自分のことしか考えてないなぁ……



「美瑠ちゃん」

「………」

「…―――」



暗い、自分でもわかるくらい暗い思考に耽っていると不意に頭に温かみを感じる。

ぽんぽん、と何度も髪の毛を撫でられる、感触。

そっと顔を上げれば…ツナが苦笑と悲しみを交えたような…そんな複雑そうな顔をして私の頭を撫でてくれていた。


(まるで、光…ううん、太陽…)


真っ暗な闇の中、一筋の光のような温かさをくれるツナに太陽を重ねる。
自然と暗かった自分の思考も温かさを取り戻して、渦巻いていたものが潮のように引いていった。



「…ありがとう、ツナ」

「ううん…」

「まだ、あの子がどういう関係か、恭弥に聞いてない」

「…うん」

「だから、ちゃんと聞いてみるね」

「うん…頑張れ、美瑠ちゃん」

「…うん!」



そうだよね。幼馴染みって言っていたけど、本当にそれだけかもしれないし、そうじゃないかもしれない。

どちらであっても……私の気持ちは同じ。それだけは、変わらない。


今度はちゃんと―――向き合わないと。

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