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「恭弥…歌愛ちゃんとの関係は、何か聞いていい?」
少しだけ震えてしまったけど、恭弥から目は逸らさない。
お願い……本当のことを言って。
…好きな人、って言われる覚悟は…もう、十分あるから。
だから……―――
「付き合ってるんだよ」
「…!」
「そうだよね?恭弥」
ニッコリ笑いながら歌愛ちゃんが恭弥にそう同意を求めた。
私はゆっくり恭弥の方に視線を戻しながらその反応を待つ。
恐い…怖い、怖い…けど、知りたい……
歌愛ちゃんの言葉は、ホントウ?ウソ?
「…そうだよ」
「……っ」
―――あぁ、ホントウ、だった。
覚悟を決めていたけど、実際に事実を突きつけられるのは、思った以上に苦しくて。
…苦しすぎて、何も考えたくなくなった。
歌愛ちゃんが好きだって言われる覚悟なんて、本当はできていなかったんだ……
ただの、表面だけの覚悟。
心のどこかでまだ期待していたのかも。…恭弥が私のこと好きでいてくれていることを。
涙が出そうだったけど、必死に堪えてニコリ、と笑う。
(流れてしまった一筋の涙に、どうか気づかないで)
「そっか…じゃあ、これ返すね!」
「…!」
動かない身体を必死で動かして、震える手を首に回し……
首にかけていたネックレス―――恭弥がくれた指輪を外して机の上に置く。
恭弥が大きく目を見開いたから、その反応が珍しくて苦いモノがこみ上げた。
恭弥も分かってるよね……私が、これを返す意味。
最後くらい……潔い、貴方が知っている“彼方美瑠”のままでいたい。
別れたくない、とか言って恭弥を困らせたくないから。
―――最後くらい……貴方の目には、最高の笑顔を。
「バイバイ!ありがとう、恭弥!」
「…っ美瑠!」
最後に恭弥が私の名前を呼んでくれたけど、その声には振り向かず。
私は応接室を飛びだすようにドアを閉めた。
だって……最後なんだから、こんな醜い顔、見せられないでしょ…っ?
くしゃり、と歪む顔。次々に零れる、涙。
「…っく…うっ……」
ざわざわと生徒の声が聞こえてくるから無意識に人の居ないところ…屋上を目指す。
走っても走っても、止まってくれない…否却って溢れる涙を隠すように屋上に着き…その場に崩れた。
恭弥…恭弥、恭弥、恭弥……っ
ごめんなさい、ごめんね、私は…貴方が大好き。今も、好きなんて未練がましいよね。
恭弥にはもう…他に好きな人がいるのに。諦めの悪い私でごめんね。
ごめん…ごめんね、好きで、ごめんなさい…っ
最後は、ちゃんと笑えてた?“綺麗”な美瑠のままでいられた?
ごめん、自分でもわからないや……でも、貴方に映った自分が“綺麗”だったらいいな。
好きな人にはね…醜い姿なんて、見られたくないの。
「うっ…く……うぅっ…ひくっ…」
大好き…大好き、すき、すき、すき…っ
―――あいしてるよ……恭弥……
(今だけは、あなたを想って泣かせてください)
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