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「…ツナ」
「何だよ、リボーン…」
「お前は本当にダメツナだな」
「……うるさい」
リボーンの言葉に悪態をつきながらもオレはぎゅっと強く拳を握り締めて俯く。
美瑠ちゃんが倒れたとき…とっさに動けなかった。
なんだか、現実味がなさすぎて。まるでテレビを通してみているみたいだった。
美瑠ちゃんが倒れていく姿を呆然と見つめていれば、リボーンが「早く行け!」とオレの体を蹴った。
そこでやっと目が覚めて、慌てて美瑠ちゃん!と名前を呼びながら駆け出す。
…リボーンが目を覚まさせてくれなかったら、オレはずっとその場に立ち尽くしていたかもしれない。
周りにいた子たちを押しのけて、コートに入ろうとした瞬間、
美瑠!というとても焦った声が聞こえて……
いつものように黒い学ランをはためかせながら、雲雀さんがコートに入っていった。
美瑠、美瑠、と何度も美瑠ちゃんの名前を呼んで、そして……
「……っ」
キス、したんだ。しかも恋人同士がするような、深いキスを。
美瑠ちゃんと雲雀さんがキスしてるところなんて…今まで何度も見てきたのに。
何故か…今になって、それがすごく嫌だった。
雲雀さんは、美瑠ちゃんを泣かせるだけなのに……
こんな時だけ、雲雀さんは美瑠ちゃんに手を差しのべる。
―――勝手じゃないか。
今まで大好きだった美瑠ちゃんをフッて、歌愛ちゃんと一緒にいるのに。
こんな時だけ美瑠ちゃんに優しくして……美瑠ちゃんの気持ちを縛るなんて……
オレなら…オレ、なら……っ?
「…恋愛の先輩として一つだけアドバイスしてやる」
「何だよ、赤ん坊のくせに」
「愛は、待ってるだけじゃ手にはいらねぇ。
自分の気持ちを素直に伝えて…自分から、奪うものだ」
「……、…オレには関係ないよ。
だって、美瑠ちゃんは友だち、だから……」
「…お前の場合、自分の気持ちに素直になることから始めることだな」
お前もまだまだガキだな、とバカにしたような声音でなく、真剣な声で言い残して自慢のボルサーノを目深く被りなおしながら消えた。
…なんだよ、自分の気持ちって………
オレは、京子ちゃんが好きなんだ。
美瑠ちゃんは友達、で、好きな人じゃ…ない。
(でも心のどこかで、認めている気がしたんだ…)
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