1



「おはよう!ツナ」

「美瑠ちゃん!?」




2 転入生として再び





何度目かわからない目覚ましのアラーム音にまだ睡眠を訴える自身の体に鞭打って起き上がる。

あれ…そういえば珍しくリボーンに蹴り起こされなかったな……まぁ痛くなくていいんだけど。
制服に着替えていつものように寝ぼけながら下に降りると―――当たり前のように美瑠ちゃんが朝ご飯を食べてた。
しかも、並高の制服を着て。

いやいや!何で!?
朝ご飯食べてるのはいいんだけど…何かナチュラルすぎる…!眠気も吹っ飛んだよ!



「食べないの?ツナ。すっごくおいしいよ!」

「ツッ君、早く食べなさい」

「あ、うん」



いつものように席に座ると必然的に美瑠ちゃんの隣になった。リボーンは美瑠ちゃんの前。

…エスプレッソを飲みながらコーヒーって…お前赤ん坊だろ!?って普通じゃないけどさ!

朝起こされなかったのは美瑠ちゃんがいたからか、と納得しつつ隣をちらり、と見やる。
美瑠ちゃんお箸の使い方うまい……一年前はどこかぎこちなかったのに。



「ツナ、もう行かないと遅刻だよ?」

「…………(ハッ!)」

「(バカツナめ。美瑠に見とれてやがったな)さっさと行ってこい」

「痛っ!一々蹴るなよ!!」

「早く行こう」



美瑠ちゃんが母さんに朝ご飯ありがとうございました!って言うと母さんは嬉しそうに笑って、またいつでもごはん食べに来てね、なんて返していた。
その様子を横目にオレも急いでトーストを飲み込んで美瑠ちゃんの後に続いて「いってきまーす」って言いながら外に出ようとした、けど。

それは叶わず、玄関で美瑠ちゃんと共に足を止める。
…正しくは、美瑠ちゃんが固まっていて、後ろにいたオレも足を止めたんだけど。

美瑠ちゃん?と不思議に思って声をかけると美瑠ちゃんは前を見つめながら呆然と呟いた。



「武……隼人…」

「…!」



少し背伸びして美瑠ちゃんの背越しに前を見れば、美瑠ちゃん同様固まっている2人。
まるでありえない、とばかりに目を見開かせて。

そっか……美瑠ちゃん、まだ二人には会ってなかったんだ。

獄寺くんが恐る恐る「美瑠…?」と確認のような言葉を発せれば、美瑠ちゃんは苦笑とも悲しそうな笑みともいえる笑みを浮かべた。



「うん……久しぶり、隼人、武」

「美瑠じゃねーか!いつ帰ってきたんだよ!」



ガシッと美瑠ちゃんの肩に手を回し、ニカッと山本らしく明るく笑う。

えぇえ!?山本普通―!?ていうかいつもと同じノリ!?
美瑠ちゃんが一番混乱してるし!

そりゃそうだよな、美瑠ちゃんはオレ達に嫌われていてもおかしくないって覚悟していたんだから。



「武…?」

「何だよ、帰ってきてたなら言えばよかったのに!」

「で、でも……」

「大丈夫だって。オレら美瑠のこと裏切ったとか思ってねぇから」



真剣みを帯びた声でそういって、なっ?っとオレに同意を求めながら笑った。

あぁ……やっぱり、山本だ。いつでもあぁやって、許してくれる。

山本らしいな、と微笑みながらうん、と頷き返した。
その返事に山本は二カッと笑って、再び獄寺くんに視線を向ける。



「獄寺もそうだろ?」

「…隼人」



美瑠ちゃんの心配そうな声。獄寺君は拳を強く握り締めながらただ、無言で俯いてるから。
そんな獄寺くんにオレも山本も心配になってきた。

……まさか……獄寺君は、許してないの…?美瑠ちゃんが、裏切ったと、思ってる、の?

獄寺くんは山本と違ってファミリーを本当のマフィアだと認識がちゃんとある。
リボーンに無理矢理読まされた“マフィアのすべて”っていう本には裏切りは許さないって……
静寂が広がり始めた頃、獄寺くんはふいに俯いたまま、握った拳を振り上げる。

ま、まさか、美瑠ちゃんを殴る気じゃ…!それはまずいって!

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