36.2
「うん、いいんじゃない」
「よかったです。気に入ってもらえて」
「そういえば君、こんな難しい本読むの?」
「あぁ、好きなんです。読書」
「へぇ。…この前面白い本を見つけたんだ。今度持ってくるよ」
「ありがとうございます」
恭弥が選ぶ本はいつだってセンスがいい。
きっと大人になっても変わっていないだろう。
少しだけ楽しみで、小さく笑みを浮かべると「そんなに嬉しいかい?」と恭弥も笑った。
「そういえば、今日非番なのかい?」
「はい。久しぶりです」
「あぁだからか。スーツじゃない格好、久しぶりに見たよ」
「…そう、ですね。確かに」
非番ということもあり、カーディガンに長めのスカートという姿。
普段はパンツスーツでいるので、スカートを着たのは久しぶりだった。
…楽だからという理由でスカートとカーディガンでいるのはまずかっただろうか。
少しだけ不安に思っていると恭弥は私をじぃっと見つめると不敵な笑みを浮かべた。
「その方がいいよ」
「…え…」
「たまにはそういう恰好したら?」
「…っ」
まさか、褒められるとは。
しかも恭弥に。女の子の格好を。
えも言えぬ喜びがじわじわと心に広がって、少しだけくすぐったかった。
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